製品開発コストを下げる10の方法

「製品開発コストを下げるには?」
あまりにもよく耳にする質問です。設計者は常に製品開発コストの削減を求められます。しかし、「コスト削減」戦略がかえって生産性に影響し、コスト増大、プロジェクト損失につながることすらあります。
競争の激しい市場において、コスト問題から逃れることはできません。プロジェクト全体コストの60%が構想段階で決定する中、設計者もなんとかして効果的なコスト削減対策を打ち出す必要があります。そこで、コスト削減に関する10のアイデアをご紹介します。
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常にシンプルであること
シンプルさは美しさに通じます。
イノベーションを追い求めるあまり、製品開発チームが目的を見失ってしまうこともあります。多くの機能を搭載することで、同僚の技術者の感嘆は得られるかもしれませんが、シンプル(なわかりやすさ、使いやすさ)さを求める消費者が困惑するような製品を作ってしまうことになりかねません。 2012年5月の「ハーバード・ビジネス・レビュー」 でStefan Thomke氏は、 「どの機能を除外するか決めるのは、どの機能を含めるかを決めるよりも重要かもしれない。残念ながら多くの企業が顧客への価値や使い勝手といった重要な要因を十分に考慮することなく、あらゆる可能性を片端から製品に搭載してしまっている。」 エンドユーザーを常に意識すると、製品設計はむしろ控えめなほうが大きな効果をあげることができます。

計画段階に時間をかけること
スケジュールが厳しいとつい計画段階を急いで終わらせ、なるべく早く設計に着手したくなるものです。しかし、これは良いアイデアとはいえません。
計画段階を早めることでプロジェクトが間違った方向に進んでしまう可能性があります。そのような場合、先に進むほど、プロジェクトのコストは高くつきます。 プロジェクト開始時に時間をかけて、必要なタスクを明確化し、解決すべき問題を見える化し、解決策についてアイデアを出すのがベストです。プロジェクトに最初から真摯に取り組むことで複雑でコストのかかるやりとりや改変、手戻りを減らすことができます。SOLIDWORKSの3Dエクスペリエンス製品を利用して、企画・構想段階から、アイディアを共有することで、プロジェクトが進んでからの変更を減らすことが可能です。

開発計画にしがみつかないこと
しっかりとした開発計画をたてることは重要です。しかしそれを絶対として少しのずれも許容しないというのは間違いです。
プロジェクトを進めるうちに新しいアイデアや考えが出てきます。新しい制約も見つかります。条件も変わります。計画はあくまでも当初の仮定に過ぎないということを覚えておきましょう。

以前の設計を再利用する
本当に一から新規で製品を作りなおす必要があるでしょうか?過去の設計から部品を流用することはできないでしょうか? SOLIDWORKSでは過去の設計を数クリックで呼び出せます。また、状況に合わせて適切な要素を選ぶことで、設計プロセスの一部を自動化することも可能です。

協業すること
数字には力があるという人もいれば、人が多すぎるとかえって物事がうまくいかないと考える人もいます。 いずれにせよ、製品開発における協業は最後までプロジェクトのスピードアップを後押ししてくれます。
小さな製品では、3次元CADで同僚の設計者とファイルを共有することで問題解決を図ることができます。大規模かつ複雑なプロジェクトでは、複数の設計チームが平行してプロジェクトのマイルストーンに照準を合わせてプロジェクトに取り組むことで素早いやりとりが可能となり、プロジェクトを効率よく進められます。設計と製造を同じ場所に配置するというのも製品開発を円滑にすすめるための1つの協業の方策です。

マーケティングコストを抑えること
マーケティング活動のコストは思ったより高くつくというのが定石のようです。SOLIDWORKS Visulaizeを使えば、写真のようにリアルな設計画像を作成できます。製品が製造されるのを待ってからマーケティングを開始する必要はありません。写真撮影に高額な費用を支払う必要もなくなるのです。

試作品を減らすこと
試作品の作成は製品の成功には欠かせません。しかし、試作品の試験、設計の修正、新しい試作品の作成、設計の再修正・・・といった作業を延々と繰り返すのは、甚大なコストがかかります。
SOLIDWORKS Simulationでは動いている部品同士の衝突や干渉をシミュレーションできます。しかしこれはSOLIDWORKSの機能の一端にすぎません。 線形・非線形の静解析、振動、疲労、熱、最適化、非線形動的解析といった多くのシミュレーションを活用できます。また様々な材料性能の比較、重要な部品にかかる荷重(例:ばねやベアリング荷重)の自動計算も可能です。 設計プロセスの早い段階でシミュレーションを活用することで、設計を最適化し、製品品質を向上させ、実際の試作品作成にかかる工数を劇的に削減できます。

素早く成約につなげること
SOLIDWORKS のような3次元CAD ソフトウェアでは製品設計をプロジェクト関係者と容易に共有できます。2次元図面だけを提出してお客様を困らせる必要はもうありません。CAD ファイルを共有可能なファイルに変換して電子送信すれば、プロジェクトのスポンサー全員が3次元で製品を「見える化」することができます。

プロジェクトを適正に管理すること
すぐれたプロジェクト管理の真の重要性を理解するのは不可能に近く、多くの製品開発チームが失敗するのがこのプロジェクト管理です。忙しくなくてはならない、なるべく多くのプロジェクトを積み上げておく必要がある、という必ずしも正しいとは言えない考え方が存在し、その結果、生産性の低下を招いています。
あまりにも多くのプロジェクトが同時進行していると、明確性が失われます。優先順位もつけにくくなりますし、フィードバックも遅れ、プロジェクトの完了に相対的により多くの時間がかかってしまいます。 ここでも同様に最初から完璧であることを求めると創造性やイノベーションが阻害されてしまいます。たくさんのプロジェクトを受注するのは決して悪いことではないですが、専門家による開発チームの負荷管理、多忙と過多とのバランスの確保が必要です。注文をとりすぎない。見積もりを低くしすぎない。現実的なスケジュールを引く。フォーカスを絞り込み、優先順位を明確にすることが重要です。

話を聞くこと
開発計画がいかに強固で、試作品がいかにしっかりしていても、製品には常に効率化の余地があります。
メーカーや生産ラインの担当者から話を聞くようにしましょう。必ずしも必要ではない機能をあえてなくす、材料を変えてみる、といったところから開発、製造コストの大幅な削減につながる可能性があります。

実行に移しましょう
製品開発コストを下げるには?当たり前だと思っている仕事の進め方に疑問をもつことです。
製品開発の効率性をやみくもに追い求めるあまり、かえって生産性の低下を招いてしまい、結局削減しようとしていたプロジェクト・コストを引き上げてしまったなどということになりかねません。 真の削減は単なる設計のイノベーションからはうまれません。真の削減・イノベーションは、日々のプロセスを見直すことから生まれることが多々あります。

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田口 博之

田口 博之

マーケティング部 プロダクトマーケティング担当