SOLIDWORKS CAM 2020の新機能

SOLIDWORKS® 2020の新機能に関するブログ連載も今回で4回目になります。ご存知のようにSOLIDWORKS CAMはCAMWorks®をベースにしていますが、ソリューションの改善に重点的に取り組んでいる独自の開発チームがSOLIDWORKSにもあることを知っておいていただきたいと思います。

SOLIDWORKS CAM 2020は、設計から製造までのソリューションの重要な構成要素です。製造の効率性と生産性にプラスの影響が出たとの反響をいただき、私たちは喜んでいるところです。建設的なフィードバックをくださった皆様に感謝いたします。

SOLIDWORKS CAM 2020は、包括的な2.5軸CAMソリューションです。今回のリリースの主要な機能をいくつか簡単にご紹介します。

定型作業のプローブ化

プローブは生産性の大きな部分を占めます。最近の機械(Tormachやマツウラなど)の多くにはプローブ機能が備わっていて、加工の速さや、やりやすさ、繰り返しが向上しています。 新しいプローブ機能により、設定・製造プロセスのスピード アップを図れます。

たとえば、四角いブロック状の粗素材をもとに10個の部品を加工する必要があるとします。まず、ゼロ原点にするのかプログラム原点にするのかを決めなくてはなりません。プローブの機能を活用すると、プログラムを実行するたびに自動的にゼロ原点が検出されます。

プローブ機能が加わったということは、次の部品の処理に移るために部品を取り替えるたびに定型作業(繰り返し可能なプロセス)を自動的に実行できるということです。それに、シフト交代で作業員のスキル レベルが変わってしまうのではないかという心配もしなくて済みます。機械が常に同じゼロ原点に位置決めしてくれるからです。

プローブの使いやすさと柔軟性が向上するように、SOLIDWORKS CAMには、よく使われるフィーチャー タイプとしてシングル ポイント、ポケット、ボス、3点ボス、3点穴が追加されています。

SOLIDWORKS CAM Professionalでプローブ機能が使えるようになりました。言わば、もう一段階上のスピードと効率性を得られる生産性向上パッケージです。

タブ カット

タブ カットは、さまざまなレベルで非常に重要な機能強化です。航空宇宙部品を作るにしろ、プラズマ作業台で部品を切断するにしろ、最近の加工は、部品を切り落としたり(切削)、上側に傾斜を付けたり(2次元切断)といったことをできるだけしないのが主流です。そうすれば、部品の切りくずも減り、工具の破損や機械の損傷も避けられます。こうしたことはどれもコストの増加や作業の遅延につながります。

今まではタブを手動で定義しなくてはなりませんでしたが、タブ カットのオプションができたため、部品の輪郭に基づいてミクロジョイントやタブが自動的に挿入され、ジオメトリの変更に伴ってパラメトリックに更新されるようになりました。おかげで余計な手間が大幅に減っています。

個人の好みに基づくカスタマイズ

最近の電子機器は各種の調節設定によって使いやすくなり、自分独自の設定ができることが当たり前になっています。たとえば、スマートフォンの着信音、メール、文字通知、スクリーン セーバー、自動アラームなどをその日の気分に合わせてカスタマイズします。それと同じように、SOLIDWORKS CAMでも、カスタマイズ可能なテクノロジー データベースを作成して、作業上の優先事項に合わせて個人設定できます。

カスタマイズしたフォーマットを保存して再利用できます。また、自分独自の機械編集方法で新しいフォーマットを作成することもできます。この新機能を使うと、自分にとって意味のあるフォーマットを作れるようになり、実際の作業方法に応じて最適化されたデータベースにルールが生成されるようになります。

最後に1つ、カスタマイズについてお伝えしたいことがあります。フォーマット設定を保存または復元するときは、SOLIDWORKS CADが実行中でないことを確認してください。

テーパー付きマルチポイントねじ山ツール

SOLIDWORKSユーザーは、コンフィギュレーションがシングルポイントとマルチポイントのどちらであっても、ストレートねじ山ツールだけを使うよりも、マルチポイントねじ山ツールをよく使います。その方が速くて効率がよいからです。この新しいテーパー付きマルチポイントねじ山ツールは、ライブラリに入っていて、テーパー穴にねじ山角度を揃えるのに使うことができます。シングルポイント、ユーザー定義、自動式の中からテーパー付きねじ山のタイプを柔軟に選べます。

Universal Post Generator

Universal Post Generator(UPG)を使うと、定型作業の処理がさらに簡単になります。ポスト プロセッサを作成または編集したい場合は、新しいバージョンのUPGを使えば、SOLIDWORKS CAMの最新機能を利用できます。無償版はこちらからダウンロード可能です

製品を改良し続けるために、私たちには皆様からのフィードバックが常に必要です。ソフトウェアを開発するうえで、機能強化のご要望を重視しています。ぜひ下のコメント欄にご意見をお寄せください。

田口 博之

田口 博之

マーケティング部 プロダクトマーケティング担当