プロダクトデザイナー阿武優吉ブログ10 – Industrial Designerでアートに挑戦！04

完成を目指して。
こんにちは、阿武です。今日は3D＋手作業の「ハイブリッドアート」である「蜜の棚」の完成までについてお話します。まず、前回までにSOLIDWORKS Industrial Designerのフリーフォームで制作したハチの巣の3Dデータを、SOLIDWORKSで作業できるようにデータ変換します。エクスポートというコマンドを使って、変換したいデータ形式を選択するだけ。とても簡単です。SOLIDWORKS Industrial DesignerのデータをSOLIDWORKSで開く場合は、SOLIDWORKSのパート形式を選択すればOK。でも今回はいろいろ試してみたかったのでSTEP形式を選択。もちろんSOLIDWORKSはSTEP形式も開けるので問題なし。

SOLIDWORKSでファイルを開いたら、形状の表面をサーフェスのオフセットで抽出します。そして同座標に前回紹介したハニカムのデータを配置します。最後にサーフェスでこのハニカムをカットします。どうですか、簡単にハチの巣ができるでしょ？見た目、結構リアルにできますよ～。

細部を詰める。
ただ単にカットしただけでは、3Dプリントするときに物理的に問題が発生する可能性があるので、細部を整えていきます。私はこの時点で3Dプリントの業者さんと打合せをしました。サポート材の付き方、スタートストップの位置などをメインに。また、同時に見た目も少しいじってデジタルっぽく表現していきます。デジタルっぽく？すみません、ピンとこないですよね。私の感性でのデジタルは、少しカクカクにすることです(笑)。

これでOKというところまで整えたら、アンティークの家具に配置するための最終設計をします。家具を実測してSOLIDWORKSにデータとして落とし込み、どこの棚にどのタイプのハチの巣を配置するか、組み立ては大丈夫か、注意を払って設計作業をします。最後に、この「蜜の棚」を考えたアーティストのKIGIさんに最終確認をとってデジタル作業は終了です。

手作業に移行。
次に手作業に移行します。3Dプリントが終わったら、アンティーク家具に設計通り配置できるか仮組みをします。仮組みがOKだったら、バラして染色に入ります。一枚一枚に色のばらつきが出ないよう丁寧に染色します。え？一枚一枚？そうなんです、実はこのハチの巣は分解式になっていて、ハニカムの一枚一枚を積層する構造になっています。立体地図みたいな感じですね。

染色後は穴の一つ一つに透明レジンを注いでハチミツを表現します。えーと、この作業は本当に本当に大変でした。穴の数が数え切れないほどあるので、独り言をぶつぶつ言いながら作業を続けるしかありませんでした（笑）。全てが完了したら最終組み立てをして完成です！

本年もありがとうございました。
今回の3D＋手作業の「ハイブリッドアート」いかがでしたか？自分としては、とても良い経験ができたと思っています。3D＋手作業は、いろいろなスキルが融合できるところが本当に楽しいです。機会があれば、ぜひ皆様も挑戦してみて下さい。また、Industrial Designerはプロダクトデザイナーのためのソフトですが、自由形状を作るSub-D機能の便利さを利用しないのは本当に勿体無いです。デザイン、アートといった領域は設けず、様々な分野のモノづくりに活かせると感じています。
今年のブログはこれで最後になります。また来年、次の新しいお題を用意してお話しさせて頂きますのでお楽しみに！皆様良いお年を～！

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