プロダクトデザイナー阿武勇吉ブログ – SOLIDWORKS Industrial Designerでアートに挑戦!

形づくりに境界は、ない。
こんにちは、阿武です。今回からはアート作品の制作話を数回に分けて綴ります。え?SOLIDWORKS Industrial Designerのブログだからデザインの話が聞きたいのに!と思われる方がいるかもしれません。私はプロダクトデザイナーなので、これからも皆様にはデザインの話をたくさんお伝えします。しかしこの度、アート作品制作のお手伝いという楽しい仕事に携わったので、その制作話をご紹介しますね。アート作品の制作といっても、基本は3Dプリンターで出力するオブジェ。つまり、普段のデザインの仕事と同様に、SOLIDWORKS Industrial DesignerやSOLIDWORKSを使って3Dデータを作成します。ジャンルが異なっても形を作ることは同じ。むしろ自由形状を得意とするSOLIDWORKS Industrial DesignerのSub-D機能を試すうえでは良いお題です。デザイン、アートといった領域にとらわれず、純粋に形づくりの参考にして頂ければ幸いです。

 

ハイブリッドアート。
依頼内容は「ハチの巣」を作ってもらいたいとのこと。しかも、ハチミツが詰まっているところまで表現してほしいという難題・・。早速作業を開始するにあたって作戦を練ります。まず、ハチの巣の外観形状と六角形のハニカム構造の3Dデータを作る。これらのデータで基本モデルを3Dプリントした後、ハチの巣の色に染色。染色後に透明レジンでハチミツを一つ一つ表現する。よし、この作戦で進めよう。あれ?3Dプリントまではデータの利用で進行できるけど、染色とレジンはどうやるの?そうです、ご想像のとおりデータは利用できないので、これらの工程は手作業で行います。この時代、データであらゆる仕事を完結することができますが、不可能なこともまだまだ沢山あります。今回の仕事の良いところは、データと手作業の融合にあります。なぜなら、「ものづくり」のあらゆる経験を活かすことができるから。3Dデータ作成という最先端のスキル、元来からある手作りのスキル、この両方のスキルが不可能を可能にするカギです。今回の仕事に題名をつけるなら、「ハイブリッドアート」にします。最先端+手作業のアート作品ということで。今後の未来における「ものづくり」は、ハイブリッドなアイデアが必要だと考えています。時代を超えた様々なスキルを集めることで、作られるモノの幅が広がると思います。そういえば、SOLIDWORKS Industrial Designerも手描き+Sub-Dの「ハイブリッドツール」ですね(笑)。

お絵描きスタート。
では作業を開始します。まずハチの巣の外観形状の3Dデータを作成します。このブログで以前お話ししましたが、SOLIDWORKS Industrial Designerには画像データを下敷きに作業が行える機能(スケッチピクチャを挿入)があります。依頼主から2Dのイメージデータを頂いたので、早速SOLIDWORKS Industrial Designerに取り込みます。データを貼付けたら、その輪郭をコンセプトスケッチで描いていきます。感覚としては、トレーシングペーパーの上からイラストをなぞっていくことに似ています。子供の頃のお絵かき感覚でとても楽しいですよ(笑)。SOLIDWORKS Industrial Designerのコンセプトスケッチはスムージング機能があるのでサクサク描ける。しかも、相変わらずこのペンタブレットは描き心地がよろしい。正面、側面、平面のあらゆる方向からスケッチを描きます。描き終えてみると、なんだかもうそこに「ハチの巣」があるようで、この先の工程にワクワクしてしまいます。コンセプトスケッチが終了したら、自由形状をスケッチに合わせてグニャグニャします。この作業、詳しく話したいことが多いので、次回のブログでお話しします。お楽しみに!

【お知らせ】
実はこの作品、既に納品しております。作品名は「蜜の棚」といいまして、グラフィックデザインとアートの分野で活躍中のKIGIさんの作品です。9月24日(日)まで宇都宮美術館の企画展『KIGI WORK&FREE』にて展示されております。アンティーク家具の中にハチの巣を配置したアート作品。手作りのアンティーク家具と最新技術を使って制作されたハチの巣、2つの時代を融合した見応えのある作品になっています。このブログの掲載時にはギリギリかもしれませんが、お時間がございましたらぜひ足を運んでいただけると幸いです。

Profile:
阿武 優吉(あんのゆうきち)
工業デザイナー
1972年1月25日生まれ
1995年 株式会社バンダイ入社。アニメキャラクターのプラモデルの設計を担当
1998年渡英
2001年 Central Saint Martins College of Art and Design大学院工業デザイン科卒業
2010年 株式会社アンノデザインオフィス設立
他種々のデザインアワード受賞経歴を持つ

SOLIDWORKS Industrial Designerに関する詳細は、下記バナーをクリックしてホワイトペーパーを確認いただけます。

【プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ】
プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ01 – SOLIDWORKS Industrial Designer
プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ02 -スケッチを描こう
プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ03 – 基本形状を作ってみよう
プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ04 – フリーフォーム(自由形状)で作ってみた!
プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ05 – 完成を目指して
プロダクトデザイナー阿武勇吉ブログ06 – 3Dデータを二次利用してみよう

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