MBD 導入における 10 の注意点 – カスタマイズ済みのテンプレートを標準とする

テンプレートの便利さは誰もがご存知のとおりです。データの再利用が可能になるため、同じ作業を繰り返す必要がなく、一貫性の確保や品質の向上に役立ちます。テンプレートはモデルベース定義(MBD)の観点からも、3 次元注記、テキスト、3D PDF、プロパティ、テーブルといった多くの面でメリットをもたらしてくれます。具体的な例を見ていきましょう。

  1. 3次元 PMI のテンプレート。3 次元の注記を詳細に定義するとなると、相当な時間がかかるものです。ある自動車メーカーの場合、CATIA を使った MBD アプローチをホワイトボディの組立に採用しました。各部のモデルを追加する作業では、フロアパネルに 100 以上の 3 次元注記、パワートレインのシリンダーヘッドに 800 以上の注記を作成しなければならず、数日間から数週間を要したそうです。しかし、そうした 3 次元注記を PMI スキームのテンプレートとして保存しておくことで、次の類似モデルに適用することができました。もちろん、新しいモデルにはところどころに違いがあります。固有のフィーチャーを定義したり、不要な注記を修正したり、見た目を整理したりと、3 次元注記の細部の調整に数時間かかったものの、テンプレートのおかげで手間と時間は大幅に軽減されました。しかも、レイアウト、公差スタイル、関連付けについては、最大限の一貫性を確保することができます。SOLIDWORKS MBD にも同様の機能が用意されています。コピースキーム機能を利用すると、複数のコンフィギュレーション間で 3 次元注記を再利用することができます。上図のシャフトをご覧ください。すべての定義が完了していて、両端には 2 つの穴が開いています。一方、図 2 のコンフィギュレーションには穴がありません。だからといって、すべての注記をゼロから再定義する必要はありません。図 3 のとおり、コピーするだけで簡単に流用することができます。いくつかの注記が黄色で表示され、左側のツリーに赤い警告が出ているのにお気づきでしょうか。これらの注記は穴に関連付けられているのですが、コピー先のコンフィギュレーションには穴がないため適用できないということを示しています。SOLIDWORKS にはインテリジェント機能が搭載されており、こうしたエラーが自動的に検知されます。修正もいたって簡単です。この例では不適切な PMI を削除するだけですし、モデルによっては独自の PMI を再適用してもよいでしょう。ご参考まで、コピースキーム機能を別のモデルで試したショート動画を MBDinSeconds のツイートに載せています。図 2: 穴のあるシャフトのコンフィギュレーションから公差スキームをコピー
    図 3: 新しいコンフィギュレーション上にコピーした 3 次元 PMI には微調整が必要
  2. 注記テキストのテンプレート。設計の内容はさまざまでも、注記テキストの内容は往々にして似ています。例えば、「すべてのバリや鋭利なエッジを除去」「寸法と公差は ASME Y14.41-2012 に準拠」などが一般的です。通常、何度も同じことを書きたくありませんし、書くべきでもありません。あるメーカー担当者は、「エンジニアが 10 人いれば表現も 10 種類になる。表面仕上げやアルマイト加工の注記が十人十色では本当に困る」と話しています。そこでテンプレートの出番です。SOLIDWORKS のデザインライブラリには、図 4 のように、テキストなどの注記をテンプレートとして保存することができます。注記テキストを選択し、モデルにドラッグ & ドロップして、モデル固有の必要な調整をするだけなので、手入力の手間が省けるだけでなく、人的ミスが大幅に減り、一貫性と品質を保つことができます。
  3. 図 4: デザインライブラリから注記テキストのテンプレートをモデル上にドラッグ & ドロップ
  4. 3D PDF のテンプレート。無償の Adobe Reader の普及を受けて、Adobe Reader で表示できる 3D PDF が人気を博しています。おかげで 3 次元情報の伝達はかなり手軽になりました。しかし、部品仕様書、アセンブリ仕様書、見積依頼(RFQ)などの多種多様なドキュメントをやり取りするには、3 次元ビューポートを 1 つ置いただけの PDF では万全とは言えません。ドキュメントにはタイプごとの特色がある上に、ほとんどの企業、部門、工場に独自の形式があります。例えば、部品仕様書には部品番号と材質が必要です。アセンブリ仕様書なら、部品表(BOM)と分解図を載せると読みやすくなります。技術的なドキュメントが輸出管理規則(EAR)や国際武器取引規則(ITAR)に準拠しているなら、そうした規則や規定を 1 ページ目に示さなければなりません。SOLIDWORKS MBD には、図 5 のような 3D PDF テンプレートエディター機能が備わっており、ドキュメントのタイプに合わせてテンプレートをさまざまにカスタマイズすることができます。ドキュメントのプロパティは SOLIDWORKS から 3D PDF にマッピングされます。テンプレートに BOM プレースホルダ―を配置しておくと、SOLIDWORKS から BOM テーブルの詳細が取り込まれます。また、複数のシート、ビューポート、テーブルなどを追加すると、複雑な技術情報を整然とまとめることができます。アメリカの国防兵站局(DLA)は、国防総省の調達活動で使用される 3D PDF に関して、39 の重要要件を定めていますが、SOLIDWORKS MBD の 3D PDF で全要件を満たすことができます。図 5: SOLIDWORKS MBD の 3D PDF テンプレートエディター

以上、3 つの例を手短にご紹介しました。テンプレートは色々な場面で活用できるので、今後のブログでも取り上げていこうと思います。次回の話題は賛否が分かれそうですが、「プリントアウトを排除しない」です。長期的な展望、目下の事情、そして、現在の MBD 導入プロジェクトに適した対応方法について解説します。SOLIDWORKS MBD によるテンプレートのカスタマイズと標準化についての詳細は SOLIDWORKS MBD 製品ページをご確認ください。また、Twitter (@OboeWu)あるいは LinkedIn (OboeWu)でのディスカッションにもご参加ください。

【MBD導入関連ブログ】
MBD 導入における 10 の注意点: Web 上の MBD を軽視しない
MBD 導入における 10 の注意点 – 1 つの製造ドキュメントで試験運用する
MBD 導入における 10 の注意点 – クリティカルな 3 次元寸法や公差を省略しない(Part 1)
MBD 導入における 10 の注意点 – 3D PMI を見やすくまとめる
MBD導入における 10 の注意点 – クリティカルな 3 次元寸法や公差を省略しない(Part 2)