MBD 導入における 10 の注意点 – クリティカルな 3 次元寸法や公差を省略しない(Part1)

モデルベース定義(MBD)の中に機能上不可欠な 3 次元寸法と公差を明記するメリットと省略するデメリットについて、 2 つのメリットを見ていきます。

後工程の担当者が簡易的な表示ツールでデータを操作している場合、適切な測定や正確な測定ができない可能性があります。例えば Adobe Reader の測定ツールで試してみると、下表 1 のとおり、使い方が正しいかどうかで結果が変わってしまいます。ちなみに、この正しい結果を得るためには、図 2 の「面にスナップ(Snap to Planar Face)」と「垂直寸法(Perpendicular Dimension)」の 2 つのボタンを先に選択しておかなければなりません。このような細部が誤解や製造エラーにつながりやすいことは言うまでもないでしょう。考えてみてください。シンプルなネジでもこうなのです。数百のフィーチャーが含まれている一般的な部品において、重要な情報の一つひとつを毎回検索していたら、ミスのリスクはどれほどになるでしょうか。

測定ツール自体を批判したり、否定するつもりはまったくありません。ここで言いたいのは、重要な情報を現場で測定するのであれば、設計部門と製造部門の双方に、あるいは客先とサプライヤーの双方に、十分すぎるほどの準備と注意が必要だということです。作業の影響が大きい上に、それなりのテクニックも必要とされます。こうした余計な手間を増やさないためにも、少なくとも MBD 導入の初期段階では、注記を加えておく方が得策だと言えます。
次に、MBD プロジェクト全体の観点から考えてみましょう。ご承知のように、変化を起こすのは容易ではなく、その成否はコミュニケーションにかかっています。ですから、少なくとも初期段階では、コミュニケーションは不足するより過剰なくらいがよいのです。3 次元寸法と公差を十分かつ明確に伝えると、反対意見を和らげることにもなります。参加者の満足度を高める上では、次のような環境や意識を広めていくことが重要です。「MBD のおかげで仕事がずっと楽になった。必要なものはすべて揃い、2 次元図面に引けを取らない。それどころか、MBD の方が情報は多く、より明確で、機能が充実している」。

1 点注意していただきいのですが、重要な寸法と公差を明記する場合、モデル全体を完全定義するわけではありません。通常、クリティカルと呼べるフィーチャーは一部にすぎず、全フィーチャーではないからです。Military-Standard-31000A 規格(情報元: アメリカ国防総省、2013 年)では、下表のように、3 レベルの注記と使用事例を定めています。大抵のケースで注記を省けるということがお分かりになるでしょう。

新しい技術が次々と登場する中で、明示的なコールアウトはいずれ不要になるのかもしれません。生産工程が完全統合、完全自動化される時代には、加工機とソフトウェアが暗示的なモデルデータを読み取って、加工、検査、購買をデジタルに実行するようになるでしょう。その実現を後押しするアプリケーションもすでに現れつつあります。とはいえ、大部分のメーカーやサプライヤーはその域まで達していません。人間が 3D PMI を解釈しなければならない以上は、明示的なコールアウトを作成しておくのが無難です。低いコストでリスクを最小化する手段であり、後工程のスマートマニュファクチャリング向けアプリケーションを支援することにもなるのです。

「クリティカルな 3 次元寸法や公差を省略しない(Part 1,Part 2)」の題材はここまでですが、今後のブログでも MBD 導入のさまざまなベストプラクティスを取り上げます。どうぞお見逃しなく。次回は、3D PMI のまとめ方と見せ方についてです。多くの方々にとって、見た目が MBD 導入の成功を大きく左右するという事実は意外かもしれません。

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