MBD 導入における 10 の注意点 – 1 つの製造ドキュメントで試験運用する

前回の「Web 上の MBD を軽視しない」ブログでは、表 1 の 2 つ目の要素である「プロセス」が完結しました。第 1 回目の MBD 導入ブログを掲載から数えると、この「モデルベース定義(MBD)導入における 10 の注意点」シリーズは 17話目になります。数々の優先事項に惑わされず、週末の作業もいとわず、ここまで続けられたのも、関心を持ってくださった皆様、応援、ご意見、情報を寄せてくださった皆様、改めてお礼を申し上げます。読者の方々こそが本シリーズの活力源です。ここ数年で MBD への関心は急速に高まりました。本シリーズの読者も徐々に増え、各回の平均閲覧数は数万人に達しています(オリジナル英語版と各国翻訳版含めて)。
さて、本題に入りましょう。最後の「製品」の要素では、製品の設計や製造にかかわる具体的な問題を扱っていきます。設計者、エンジニア、現場のオペレーターには最も参考になる要素です。どうぞご期待ください。まず今回は、1 つの製造ドキュメントで試験運用することを提案します。ご意見はいつでも大歓迎ですので、下方のコメント欄をご活用いただければと思います。
表 1: MBD 導入における 10 の注意点

製品ライフサイクルの中には、さながら海のように製造ドキュメントが広がっています。MBD プロジェクトの初期段階から、大海原を泳ぎ切ろうなどと考えてはいけません。つまり、MBD を全プロセスで試そうとせず、1 つのプロセスに的を絞りましょう。そこで火種を起こし、啓発の光を放ち、将来的に広げていく土台とするのです。突破口は障害物の最も弱い点に開くものですから、その点を特定することが肝心です。
では、MBD 導入に適した突破口はどこにあるのでしょうか。一般的には、次のような条件で選ぶことをお勧めします。

• 主要な関係者全員が試験運用に賛同していて、邪魔は一切入らない
• すでに 2 次元ではなく 3 次元を設計の原本としている
• 2 次元図面を重視しなくなっている
• 2 次元図面がむしろストレスの元になっている
• 想定される恩恵が飛び抜けている(利益の余地が大きい)
• 想定される失敗に無理なく対処できる(損失の幅が小さい)

例えばウォーターズコーポレーション(英語)は、購入部品や標準部品(ナット、ボルト、パイプ)の仕様書から MBD を開始しました。下図のとおり、最低限の重要な寸法しか掲載されていません。

同社内では、長い間、これらの部品をめぐる議論が絶えませんでした。完全な図面を作成する必要はないという主張がある一方で、購買チームと受入検査チームは部品検証時の比較対象として図面が必要だと訴えていました。しかし、そうした部品は業界標準に従って製造されています。実際問題としては、部品番号、図面名称、材質、仕上げなどは表題欄に表示されるため、購買チームや受入検査チームに必要な情報はほとんど載せることができますし、一般的な公差についても、「xx = +/-.01」「xxx = +/- .005」「ANGLES = +/- 1 Deg」のように注記で指定することができます。そこで、SOLIDWORKS MBD 3D PDF が完璧な解決策になりました。これはウィンウィンの結果をもたらしています。新しいプロセスでは 2 次元図面が減るとともに、直感的で充実したドキュメントによる検証も可能になりました。最も重要な成果は、MBD と 3D PDF が認知され、次のステップに進みやすくなったことです。

消費財メーカーの MBD パイロットプロジェクトでは、同じような考え方から、有機形状のプラスチック部品の仕様書が選ばれました。有機的な曲線や形状を 2 次元図面で個々に定義するのは大変煩雑な作業だったのです。そこで、射出成形向けに 3 次元輪郭公差だけを定義し、検査向けには CMM や 3 次元スキャンを使用することになりました。

ある医療機器メーカーは、3D PDF が RFQ (見積依頼)に役立つことを発見しました。サプライヤーにとっては、3D PDF の方が見やすく、より正確に理解することができます。営業員にとっては、外出先で無料の Adobe Reader からモデル、寸法、公差を確認し、その場で見積もりを出せるようになります。今では見積もりにかかる時間が大幅に短縮されました。

今回のブログはここまでです。次回の「機能上不可欠な 3D PMI の記載を省略しない」でも、引き続き「製品」の要素を取り上げます。機能的にクリティカルな寸法や公差を省いたことで、一部のサプライヤーが辛い境遇に立たされ、MBD の評判が落ちてしまいました。そのような体験に至った背景や不要な反発を避ける方法について説明します。SOLIDWORKS MBD についての詳細は SOLIDWORKS MBD 製品ページをご確認ください。また、Twitter (@OboeWu)あるいは LinkedIn (OboeWu)でのディスカッションにもご参加ください。

SOLIDWORKS MBDについてさらに詳しくご覧になりたい場合、下記バナーをクリックして特集ページをご覧ください。

【MBD導入関連ブログ】
MBD 導入における 10 の注意点 – 進捗を評価する
MBD 導入における 10 の注意点 – 2D 図面をマスターとして頼らない
MBD 導入における 10 の注意点: サプライチェーンへの送付データを 3D PDF のみに統一しない
MBD 導入における 10 の注意点 – インフラストラクチャーを更新する
MBD 導入における 10 の注意点: Web 上の MBD を軽視しない