万水千山
立春も過ぎ、まるで春のような温かさにホっとすることもあれば、日本海側の極寒の雪景色が映像で流れると、思わず「寒っ」と声が出る。極端な気候変動は、まったなしで日常生活に踏み込んでくる。除雪しても、除雪しても降り積もる雪。除雪した雪を捨てる堆積所にも収まりきらないほど雪が降った地方では、一般道路を通行止めにして道路に雪を堆積せざるを得ない状況にまでなっているらしい。自然には逆らえないということか。
札幌市内で一晩除雪をする場合、その走行距離は、延べ5,400Kmにもなるそうだ。除雪体制として、除雪車1,000台。約3,000人もの作業員が動員されるらしい。札幌市の除雪予算は、今年度278億程。雪の多い地方とされる新潟県の除雪予算と新潟市のそれを足しても札幌市には遠く及ばない。新潟県では雪以外の災害として重きが置かれているのが地震であり、札幌市の予算配分と一概に比較することもできないが、なんとももどかしい状況ではある。ちなみに、SOLIDWORKSの生まれた米国ボストンでも、除雪費用は、年々上昇の一途のようだ。毎年、大雪になるかならないかわからないし、どこで大雪になるかもわからない状況で予算を立てるのだからしかたのないこと、と言えばそれまでか。除雪予算の中には、除雪車購入費も盛り込まれている。想像に難くないが、除雪車のような特殊車両は受注生産、手作りで、重い雪相手にシーズン中に動かなくなったなどという事態にならないよう相当な安全率がかけられており、大きさにもよるが1台数千万の高価な品物になっている。長岡市が発祥と言われる地下水をくみ上げて路面に散水して雪を溶かす消雪パイプは、内地(本州以南)ではなんとかなるが、北海道では地上に出た水は凍ってしまうので、使えないらしい。などなど、輸送能力確保のための公共道路の除雪については、右肩上がりの予算計上は必須なのかもしれない。
一般家庭においても除雪は必須であることは言うまでもなく、玄関前、屋根、自家用車を使うためのスペース、とかなりの範囲の作業が強いられる。駅や商業施設で使用が盛んな融雪マットは、一般家庭用に改良された製品も出回っており玄関前など、一定の面積の融雪に重宝しそうだ。小型の除雪機を購入すれば、広範囲に作業は可能であるが、結局、除雪量や除雪面積によって、機械のパワーが必要になり、パワーに比例して購入費はかさむ。もちろん、除雪ドローンも販売されている。暖かい部屋の中から遠隔操作できる夢のマシンだ。需要はあるはずだが、高齢者でも簡単に操作できるのか、というところまで進化するにはもう少し時間が必要の感がある。そんな中、雪国どうし、北海道の企業とMIT(マサチューセッツ工科大学: https://eccube.mit.edu/)が、共同で研究、開発を進めている「電子伝導性コンクリートパネル」の融雪実証実験がさっぽろ雪祭り会場で行われた記事を見た。炭素の微粒子をコンクリートに添加することで、コンクリート内部に電気を蓄える機能を持たせたり、電気を蓄電コンクリートに流してコンクリート自体を発熱させたりすることが可能ならしい(情報元https://www.city.sapporo.jp/kankyo/pressrelease/documents/061217ec3_pressrelease.pdf)。万水千山。道は長いし険しいかもしれない。が、つながることできっと自然と共存できる未来を創ることができると思う。