User Interview :「水道のない場所で水を使えるように」ーWOTA

「SOLIDWORKSユーザーインタビュー」今月はWOTA株式会社・奥寺昇平さんにご登場いただきます。奥寺さんは学生時代から長くソフトウェア研究・開発に携わっていらっしゃいました。2014年にWOTAを3人で創業、現在は同社のCTO技術統括責任者でいらっしゃいます。WOTAは、2014年設立のスタートアップ企業で
#人と水の、あらゆる制約をなくすというたいへん壮大なテーマを存在意義に掲げています。

WOTA株式会社 取締役CTO奥寺昇平氏
東工大・東大院にて計算科学・工学を専攻、ビックデータ処理技術が専門分野。日立グループにて大規模ソフトウェアシステムの設計・開発に従事、その後2014年にWOTAを創業。

水の再生循環に着目

日本国内では、ここ数年気候変動の影響を受けた災害・水害の発生が増えています。2016年の熊本地震や2018年の西日本豪雨の時には、断水が続き、被災者の方々が長期間入浴できない事象が発生しました。その際、試作機を被災地に持ち込んで、被災者の方々への入浴支援を行い、耳目を集めたスタートアップ企業。それがWOTA社です。

最近の水害の大きな特徴は、いわゆる昔からの水はけの悪い場所での水害ではなく、線状降雨帯による集中豪雨発生時のような、狭いエリアでその土地の持つ、水はけのキャパシティーを超える超大量の雨量が発生しています。気候変動、環境変化等の問題に対応をしていくことも重要ですが、同社のアプローチはもう少しスケールが大きいものです。水は私たち人類にとって不可欠なもの。そして私たち日本人にとっては、水は十分に近くにあるもの。しかし世界に目を向けるとその事情は変わってきます。水源の確保は人類の最重要かつ、永遠のテーマでもあります。

WOTAの存在意義は「人と水の、あらゆる制約をなくす」こと。一度使った水の98%以上を再生・循環利用することで、水道が使えない災害時、あるいは大自然のなかでも水の利用が実現可能なプロダクトを開発しています。代表的な製品は、自律分散型水循環システム「WOTA BOX」や、水道のない場所にも設置できる水循環型手洗いスタンド「WOSH」です。

「WOTA BOX」はシャワーや手洗い、洗濯機などさまざまな水回り設備に接続でき、「WOSH」はカフェ、レストラン、病院、工場、オフィスなど、感染症対策が求められるようなありとあらゆる場所で”手洗いの機会を提供”するプロダクトです。

可搬型水再生処理プラント「WOTA BOX」はまさに小さな浄水場。独自の浄化アルゴリズムと複数のフィルタを駆使することで公衆浴場における水質基準をクリアした水に再生する

「水の再生」と聴いて思いつくことは一般的には街の大きな浄水場ではないでしょうか。浄水場では採取した水を浄化して、街へきれいで新鮮な水を送る。この仕組みを、ポータブルな機器で実現したのが同社のWOTA BOXです。複数のフィルターによる濾過をセンサーとAIを活用して制御することで、一度使用された水が小型の装置の中できれいな水として再生されます。そんな夢のような水の再生・循環利用ができるのがWOTAの「自律分散型水循環システム」なのです。WOTA BOXの中には、浄水場での処理を約10万分の1程度に小さくした水処理のシステムが組み込まれているのです。

WOTAコア技術の開発の原点

世界初・可搬型の水再生処理プラントWOTA BOXは、2020年にはグッドデザイン大賞も受賞。災害断水時WOTA BOXがあれば、市民への安全な水の供給を続けることができる

WOTA BOXの原点は、災害による断水。水が使えない状態、長く断水が続いた被災地の支援をおこなった経験が開発のきっかけとなっています。一度使用した水をきれいな水に再生し、もう一度その水を使えるようにできないのか。WOTAのコア技術は水の浄化を行う過程にAIとセンサーが活用されている点。排水を極小化することで、環境負荷も抑える。また災害発生地では、WOTA BOXの操作を行うのは、普段浄水場で働いているプロフェッショナルでなく、市役所で業務をされている職員の方々やボランティアの方々などさまざまです。災害時に現地にいる方自身がWOTA BOXを操作して水の浄化を行い、利用することができるようにする。そのためにも操作系全般は、誰にでもわかるように極力シンプルにしていく必要がありました。この点が開発上でこれまで一番難しかった点なのだといいます。

水道いらずの、手洗いスタンド WOSH

電源があれば水道がない場所に設置できる水循環型手洗いスタンドWOSH。水の補充なしでも20Lの水で500回以上の手洗いが可能。スマホの除菌機能も内蔵しておりウイルスや細菌を99.9%以上除去

WOSHは、水道がない場所に設置できる手洗いスタンド。20Lの水が入っており、石けんをつかい手を洗ったあとの排水はドラム缶状のWOSHの中に戻り、きれいな水に再生され、繰り返し使うことができる。水の補充をしなくても20Lの水で500回以上の手洗いが可能。この2年間の、コロナ禍において今世の中が求める製品として大変に注目を集め、あちこちの店舗や施設からの引き合いがあるそうです。人々の生活はこの2年で大きく変化しました。そもそもWOTAでは、ポータブルで小型の手洗機を試作していたのですが、新型コロナウイルス感染症が拡大したことから、WOSHは、急ピッチで開発がすすめられ世に送り出されることになりました。現在、外出先の店舗の入口では、必ず検温や手指の消毒を求められますが、日に何度も消毒を繰り返していては手荒れも心配になります。そこでWOSHの出番。インタビュアーの私自身も、武蔵小金井のイトーヨーカドーのエントランスでWOSHに遭遇。すっと手洗いができることの嬉しさと安心を実体験することができました。

SOLIDWORKSを選ぶ理由

SOLIDWORKS選定の理由を伺いました。スタートアップ企業仲間の次世代電動車椅子スタートアップ「WHILL」に当時所属していた友人にSOLIDWORKS使ってみては?と勧められたのだとか。SOLIDWORKSを使えば、周りで使用しているユーザーも多くデータのやり取りに困ることはないから。スピード重視のスタートアップ企業には、設計インフラの検討検証に十分な時間を割くことができないケースは多いのだろう。

自律分散型水インフラの今後の展望

水道供給がない場所でもWOSHを持ち込んで、水を再生させながら手洗い場を維持することができる

水道をひねるだけでいつでもきれいな水が出てくる国、日本においてはごく当たり前と思っていることも、世界においては常識ではない。人口が増え続ける地球上で、いつでもきれいな水が入手できるようにするために必要なことは。このあたりについては、ぜひ奥寺さんのご講演を視聴いただきたいと思います。水源のないところでポータブルな装置を使うことによって、水供給ができること。この事実のもたらすインパクトは大変に大きいものです。水の供給ができない場所にWOSHを持ち込んで、水を再生させながら手洗い場を維持することができるのか?あるいは、もう少し大きな規模での水の課題を解決するためには等、、、さまざまな課題と今後の可能性の拡がりがみえてくるはずです。

これからのWOTAがめざすもの

現在同社の機構設計部門は5名程度の人員。現在はSOLIDWORKSを使用した製品設計と最適なデータ管理運用の構築が進んでいます。今後、解析をより積極的活用していく予定です。WOTAにおいて製品筐体のデザインや設計は大変に重要だが、合わせて大変重要なのが製品インフラを維持するためのソフトウェア開発設計です。急速に社員数が増え、50名強のスタッフ(2021年7月末時点)を抱える。現在はオフィス勤務と、自宅勤務を取り交ぜて業務行いながら、今後を見据えて人員の強化もはかっていく予定です。目が離せない今後のWOTAと、その水処理の技術。Blog読者のみなさまも、ぜひ、ともに今後のWOTAに注目し続けていただきたいと思います。

🄫2021 WOTA CORP.

今週11月16日(火)より開催されております3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2021(事前登録制オンラインイベント 参加無料)では「自律分散型水インフラの開発と今後について」と題し奥寺CTOに、社会インフラである上下水道をAIやセンサーを駆使した未来志向型の社会インフラとしての水処理再生技術そしてWOTAの今後の展開について語っていただいております。
【S-03】自律分散型水インフラの開発と今後について
WOTA株式会社 CTO
奥寺 昇平 氏

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来月も、PDM/解析/新製品開発をテーマにSOLIDWORKSユーザーさまにInterviewを行います。お楽しみに!

製品に関するお問い合わせは、お気軽にこちらまでどうぞ。3DEXPERIENCE Worksででできること「3分動画」がこちらからご覧になれます。

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