特集:フォーミュラカーを自作するぞ!最終回
「フォーミュラカーを自作するぞ!」と題して、4回にわたってお届けした全日本学生フォーミュラ大会への学生達の取り組みですが、いよいよ最終回です。9月の大会をもって今年度の取り組みは終わりましたが、学生たちはもう来年への挑戦を始めています!
第4回でも少し触れましたが、学生フォーミュラ参加のチームの気持ちは、大会が終わった瞬間からもう翌年の大会にあるようです。今年の車両の見直しから来年の改良箇所を洗い出し、来年目指すゴールを達成するために具体的にどういうスケジュールでどこまで改良できるかを既に検討に入っています。このブログの取材でお世話になったWaseda Formula Projectからも既に来年に向けた活動企画書をいただきました。改良点が明らかになったとしても、それが実現できるかどうかはメンバー数、資金等検討すべき点も多く、これは企業の製品開発悩みと同じかもしれませんね。そこで、設計時間の短縮、SOLIDWORKS上で設計検証することによる時間・資金の節約にSOLIDWORKSを上手く利用できるようにと毎年SOLIDWORKSでは、学生フォーミュラの学生向けに大会終了後、年末に講習会を実施しています。この講習会は、10年以上前に学生連盟から「もっとSOLIDWORKSを活用できるように勉強会をしてほしい!」という熱烈なアプローチがあり実施するようになりました。今年も東京のソリッドワークス・ジャパン トレーニングルームで10月28日(土)、11月18日(土)大阪工業大学で講習会を実施しました。東京会場68名、大阪会場46名と総勢100名を超える学生の皆様が参加され、各セッション熱気であふれていました。
講習会内容
CAD編、CAE構造解析編ソリッドワークス社員が講師として登壇し、CAE流体解析編は、株式会社デンソーエアクールの南山様に講師をお願いして、3つのコースから自分にあったコースを受講してもらいました。CAD編(講師東京:保坂、大阪:久行)では、小型レーシングカーの設計に役立つSOLIDWORKSの使い方を中心に、SAE設計のためのアセンブリ、溶接の作成、モールドとサーフェスの使用方法を学習しました。
CAE構造解析編(講師:大澤)
構造解析の基礎である有限要素解析・部品解析を座学で学び、実践編としてチームに分かれて「パスタブリッジ」を製作して、どのチームのパスタブリッジが「耐えられた重さ」と「橋の自重」から「効率」(載荷加重÷自重)を計算し、「効率」が高い順を競いました。ユニークなパスタブリッジがいろいろできて、検証テストは大いに盛り上がりました。各会場Top3のチームには他ではなかなか入手できないSOLIDWORKSのレアノベルティをお渡ししました。
CAE流体解析編(講師:株式会社デンソーエアクール 開発部技術支援室 南山 雄一様)
外部流れと内部流れ、熱伝導と熱伝達、回転体について等流体解析の基礎概念を学び、午後は流体力学的失敗事例を基に最適設計案をチームに分かれて検討してもらい、最適としたアイディアをチームごとにプレゼンしてもらいました。あえて、同じ大学だけでチームにならないようチームを組んでもらったところ、最初はぎこちなくなかなか会話も弾まなかったようですが、今までと違う意見や手法を聞いたりして、どんどん議論は白熱し、どのチームも立派なプレゼンをしていました。
近年毎年開催している学生フォーミュラ向講習会ですが、10年講師を務めていただいている南山様は、この10年間で学生たちのレベルは、当初に比べ確実にあがってきているのを実感しているそうです。今回の講習会を通じ、「全体の底上げを考慮しつつ、将来日本の基幹産業を担うエンジニアとして学生たちに、更に上を目指してもらえるよう、やる気のある学生たちのステップアップを視野に入れて、講習内容をもう少しレベルアップする時期にある」と感じたそうです。
学生連盟
また、この講習会は学生フォーミュラを卒業した学生がリーダーを務め、学生フォーミュラの関東連盟(早稲田大学 上入佐 慶太さん、日本大学 竜田 航也さん)関西連盟(大阪工業大学 村上 大夢さん)の各リーダー達が会場のコーディネート、集客、当日のオペレーションをサポートしてくれています。彼らがいなければ、この講習会は実現できません。SOLIDWORKSのセミナーだけでなく、他のサポート企業さんが開催するセミナー等もコーディネートされたり、学生同士の交流が図れる場を提供したり、学生フォーミュラのために活動されています。
写真左から、早稲田大学 上入佐 慶太さん、日本大学 竜田 航也さん、大阪工業大学 村上 大夢さん。
関東のリーダー上入佐さん、竜田さんに今後の学生フォーミュラへの期待について聞いてみました。「最近では、車に興味がない、車と限らずものづくりに興味があって参加しているという人が半分くらいいます。学生のものづくりの活動としては、鳥人間やロボコン等もありますが、それに比べて学生フォーミュラは知名度低いなと感じています。もっとメディア等で取り上げてもらえると、部員・資金集め、企業サポート等受けやすくなるのではと考えています。」ということです。
今回、4月からWaseda Forrmula Projectの取材を始めて、5回にわたって学生フォーミュラについて、記事を書いてきました。学生たちの学生フォーミュラへの取り組む姿勢は、学生とは思えない真剣さと責任感を感じました。このブログも多くの人に読んでいただき、学生フォーミュラ大会を知ってもらうきっかけになればいいと思い書いてきました。今回で最終回ですが、学生たちの取り組みは来年も続きます。来年も学生の皆さんがさらにレベルアップしたマシンを作れるよう弊社も微力ながら応援します!記事を読んで下さった皆様も応援よろしくお願いします!
【特集:フォーミュラカーを自作するぞ!その他の回】
フォーミュラカーを自作するぞ!第一回
フォーミュラカーを自作するぞ!第二回
フォーミュラカーを自作するぞ!第三回
フォーミュラカーを自作するぞ!第四回