MBDの導入における10個のやるべきこととやってはいけないこと – 全員の士気を高める

表1の「躊躇しない」(パート1パート2)と「コアとなる導入チームを作る」についてはお話ししました。中心となる導入チームが直面する一般的な問題は、関係者、特にコア チームに属していない人たちの意欲を高めるにはどうすればよいかです。この投稿では、いくつかの考えをご紹介します。

2Dの図面からMBDへの移行では、あらゆる種類の抵抗に遭います。これはストレスやフラストレーションが付き物の新興企業のようなもので、ある程度は初期メンバーが抜ける可能性もあります。課題やフラストレーションがもたらす別の可能性としては、非難や責任追及により士気が損なわれ、消耗することが考えられます。そのため、関係者の士気を高め、1+1>2にすることが重要です。

士気については、金銭的なインセンティブが有効という一般的な考え方とは逆に、Danial Pink氏は金銭以外の3つの重要な原動力をまとめています。それらの推進力とは、彼の書籍『モチベーション3.0(Drive)』(New York TimesおよびWall Street Journalベストセラー)にあるMAP、すなわち成長(Mastery)、自主性(Autonomy)、目的(Purpose)です。

  • 成長:何か重要なものにもっともっと熟達したいという強い欲求
  • 自主性:自分の人生は自分で管理したいという要求
  • 目的:自分たちよりも大きなもののために働きたいという熱意

具体的な実行については、多数の例が挙げられます。共通の目標を設定する、MBDの利点を広く伝える、仲間を信頼して新たに考えることを奨励する、定期的に進捗をまとめる、MBD設計コンペを開催する、すばらしい貢献を認める、優秀なチームや個人に褒賞を与える、など。
ここでは、最も基本的な原動力である目的について、もう少し掘り下げましょう。NexTecのPartner and Business Transformation LeaderであるJames DeLaPorte氏は、次の2つの示唆に富む質問を投げかけています。

  • 今後は行わない、今日行うことは何ですか?
  • 今日は行わない、今後行うことは何ですか?

(出典:『Model Based Enterprise Impact on Organizational Behavior(モデル ベース エンタープライズが組織の行動に与える影響)』James DeLaPorte、2011年)

この2つの質問は、組織やメンバーの意識を、長期的なビジョンと現在のギャップに向けさせます。これらを念頭に置くと、関係者がMBDの正当性をより深く理解し、長期的な成果を得るために目の前の変化や問題に進んで対処できるようになります。

今度はその裏側を見ていきましょう。そう、安全地帯を越える決定は課題やフラストレーションをもたらしますが、これは私たち自身のやる気を取り戻し、競争で優位に立つ機会でもあります。Tesla Motorsの設立当初は、電気自動車という新しいものを開発するというだけで、ごく普通に思われた非常に多くのことがとても難しくなりました。バッテリー パックはどこに置こう?重過ぎたり、大き過ぎたり、熱を持ち過ぎたりしたらどうしよう?AC Propulsionのライセンスを得ればすぐに動くと思われた駆動系さえ、加速や信頼性の要件を満たしませんでした。

何度も何度も、彼らは基本的な前提を見直し、一から再スタートする必要がありました。ですが、もうおわかりでしょう。まさにこのようなところから、大きな技術革新や高い競争力が生まれるのです。現在、Teslaの車は、他の車では太刀打ちできないあらゆる種類の独自の機能を搭載しています。その多くは、彼らが直面した途方もない難題と、革新を実現した卓越したソリューションのおかげです。

Teslaと言えば、Teslaの製品発表を見たとき、次のように言わずにいられませんでした。「こうして人類は前に進むのか!」私たちがこの世にいられる時間は限られています。それなのに、日々の生活はいともたやすくルーチン化します。だったら、死ぬ前に何かすごいことをしてみたくありませんか?世界に良い影響を与えてみませんか?子供や孫に自慢できるものを作ってみませんか?私がMBDに取り組んでいるのはそのためです。日曜の午後、7か月の娘が寝ている間に退屈なブログを書いているのもそのためです。娘が成長したら、2Dの図面ではなく、3Dの製品仕様書や手順書を読むことでしょう。

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もう一つのポイントは、やる気があるのはコアの導入チームだけという状況にしてはいけないということです。関係者全員、特に製造に関わっている人たちに推奨する必要があります。否定ばかりする人を相手に議論してもあまり有効ではありません。より建設的なアプローチは、具体的な異論に注意深く耳を傾けることです。誤解だということが明らかになる場合もあれば、障害を解決するにはチームワークが必要となる場合もあるでしょう。たとえば、実際にGE Power & Waterでは、「擬似的な図面」を暫定的に使って、抵抗を緩和しています。
次のブログでは、設計部門だけに限定されない、設計を越えた製造について詳しく見ていきます。SOLIDWORKS MBDの詳細については、製品ページを参照してください。また、Twitter(@OboeWu)LinkedIn(OboeWu)でのディスカッションも歓迎です。

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田口 博之

田口 博之

マーケティング部 プロダクトマーケティング担当