3D図面に留まらないモデルベース定義の効果

1年前に、How to Dimension Silhouette Edges Using SOLIDWORKS MBD(SOLIDWORKS MBDを使ってシルエット エッジの寸法を測定する方法)という記事を書きました。通常、このテクニックは、逃げ溝の円環、面取りの円錐、シャフトや穴のショルダの高さなど、回転体を指定するために使用されます。以下の図1は、シャフト詳細図における一例です。

図1.面取りと逃げ溝を定義するためのシルエット エッジのアノテーション。

 

あの記事がきっかけで、3D図面とモデルベース定義(MBD)の仕組みについて興味深い議論が生まれました。今回の記事では、もう少し明確に書こうと思います。個人的には、さまざまなケースを想定するために、MBDは複数の段階を踏まえて導入するべきだと考えています。3D図面は3Dの活用ニーズを満たすスタート地点にすぎず、MBDの潜在力にはほど遠い段階です。

3D図面は2D図面の手法を踏襲しています。図1(上記)のように、2Dアノテーションを単に3Dモデルに変換するだけです。2Dの手法を継承しているため、3D図面は当初から適用させるのが容易と言えます。面、穴、スロット、ポケットなどのフィーチャーを定義するのではなく、エッジ、曲線、頂点などのジオメトリを細かく定義します。ジオメトリ定義では、フィーチャーを定義しないため、下流工程の製造の自動化が制限されます。

したがって、製造工程をスムーズに進めるには、フィーチャーベースの定義が有効です。製造現場で最終的に加工して検査するのは、面、穴、スロット、ポケットだからです。エッジ、曲線、頂点は、フィーチャーの結果です。2点間の距離や曲線を気にする加工者はいません。彼らが気にするのは、シリンダの直径であり、2面間の距離です。

さらに、デジタル3Dモデルは、図面の考え方にとらわれないユニークな方法でMBDの実装を促進します。たとえば、フィーチャーにアノテーションを付けることで、GD&Tとアノテーションからフィーチャーへのクロスハイライトを併用できるようになります。図2は、複数の面の公差ステータスであり、緑色の部分はすべて公差内に収まっていることを示します。また、注釈が選択されると、データムフィーチャBの幅が青で強調表示されます。こうしたインテリジェントな3Dアノテーションは、視覚的に読み取りやすいだけでなく、コンピュータ支援製造(CAM)や座標測定機(CMM)といった下流工程の製造ソフトウェア アプリケーションでプログラム的に分析して処理することも可能になります。自動化は、MBDの大きなメリットです。

図2:インテリジェントなGD&Tよるアノテーション入りのモデル

 

最後に、MBD導入におけるさまざまなニーズをもう一度考えてみましょう。視覚情報を3Dで直感的に伝達することが主な目的であれば、3D図面は最適なスタート地点になります。後工程の製造の自動化を促進する土台を築きたいと考えるならば、フィーチャーベースで意味を与える定義が有効です。

SOLIDWORKSは、ソフトウェア開発者として、この両方のオプションを提供し、幅広いニーズに対応しています。たとえば、参照寸法は、2D詳細化ツールと同じように機能するため、3D図面のプロジェクトでも役に立つはずです。一方、DimXpertは、ASME Y14.5 GD&T規格とASME Y14.41デジタル製品定義規格に適合しているため、製品仕様から製造の自動化まで、開発作業を効果的にサポートします。

SOLIDWORKS MBDの詳細については、以下の22分間のウェブキャストを参照し、製品ページをご覧ください。また、Twitter(@OboeWu)でのディスカッションも歓迎します。

田口 博之

田口 博之

マーケティング部 プロダクトマーケティング担当