カード型射的元ネタ開発秘話
2017年…ある男がその部屋を訪ねてきた。
男は胸ポケからサッと取り出し
シャッと撃ち
そして、サッと帰っていった。
男が去った後には輪ゴムだけが残されていた。
輪ゴム???
今月SOLIDWORKSからメールで紹介されているカード型射的の原形である「カード型輪ゴム銃」開発者の横網代さんに、このアイデアの開発のきっかけをおうかがいします。
「カード型輪ゴム銃」ってなんだ?
- なぜこの形になったの?
- 初号機開発時に苦労した点
- アイデアが形になるというお気持ちは?
この3つのテーマをおうかがいします。
なぜこの形になったの? —とってもユニークな発想—
私が参加している”日本ゴム銃射撃協会”という輪ゴム銃好きな人たちの協会で、輪ゴム銃制作の大会が開催されていたことがあり、「参加してみよう!」と思いました。じゃあどういうものをつくろうかなと考えたとき…
- 今までにないもの
- インパクトがあるかたちで
- 3DCAD映えする
そしてなおかつ
- 原価が安くて
- かんたんにつくれてたのしいもの!
- ネタとして面白い!
かるくて、うすくて、スパイの人につかってもらう(笑
胸ポケに忍ばせておいてサッと出す(笑
こういうコンセプトで、まずは手を動かしはじめました。*この動画はあじろのBlog(*注1)より転載させていただいております。
初号機開発時に苦労した点
一番大事なのが「安全」です。ですので暴発しない形を模索することになります。
“閉じていても””開いていても””必要なアクション”をしないと、閉じている形だとゴムが外れないようにする。閉じている時には暴発しない。この基本の動き、アイデアを形にしていく段階、機構の試行錯誤にはやはり時間がかかりました。
「胸ポケットからサッと取り出した時にゴムが外れちゃったら…ダメじゃないですか」
試作ではいろいろな部材を試しました。厚紙(工作用紙)だとすぐにへたってしまう、ステンレスだとバネのリリースが厳しい。金属だとやはり硬すぎる、材質が薄すぎると、折れてしまう。最終的には動作性、加工性、入手のしやすさで、塩ビ板で作成しました。
一番時間がかかったのは「安全装置」の仕組みです。実際に削り出して調整してから時間がかかったのは、このカード型銃(射的)がカシャッと開くところこの可動部分の調整と、スペーサーの取り合い、クリアランス、嵌め合い、隙間の取り方、設計的には隙間ばめが大変でしたね。
閉じた時に余裕ができてしまうとNGで。カシャッとしにくくてもだめ。ちょうど、よく、カシャッと開けるように。カードから射的のかたちに開く時のギミックがこのゴム銃(射的)のデザインのコアであり、かつもっとも仕上げが大変だったところでもあります。
アイデアが形になるというお気持ちは?まわりの人の反応は?
まずかたちになったものをみせた時には「どや!」という気持ちでした。
まずは一番身近な家族、「スパイの人がつかうものなんだよねって(笑」子どもに説明してました。当時4歳の子どもにはかなり何度もこわされながら…形をつくっていきました。壊されると「あ、つまり、ここがよわかった?」ということがわかります。
割れないように検討が進んでこの形になった。溝が切られているところ。アクリルそのままの形だと、子どもには渡した瞬間に割られてしまいました。オリジナル「ゴム銃」は塩ビで作成しました。量産したかったのでレーザーカットになりました。型おこして、製作数や、組み立てのことを考えると、レーザーになると塩ビはつかえないし、アクリルの方が固い。
塩ビの初号機はつくるのにどのぐらいかかった?
締切に追われ、調整含めて最終的には1週間ぐらい。
微調整は紙やすりを使用し、まさに夏休みの夜な夜な工作!
量産キットを受け取った時の気持ちは?
コレは、機械設計やさんなら、大多数の人は面白い!と思ってもらえるはずや!輪ゴム銃で3次元CADもしってもらえる!とかなーり盛り上がりました。
その後、2018年からSOLIDWORKSの地域開催の体験セミナー等で題材にされています。アイデアが形になるまで、話を聴いていただくきっかけづくりや、場の提供をいただいた大阪のSOLIDWORKSのユーザー会(*注2) メンバー仲間には、とっても感謝です。
今年の11月のSOLIDWORKS WORLD JAPANの大阪では、ゴム銃持ってみんなで記念撮影をしたいですね。(横網代さん談)
*注1 :あじろのBlogリンクはこちらです.。とっても有益なTipsがたくさん!
*注2 :ソリッドワークス・ジャパン・ユーザー会のリンクはこちら、Team大阪のリンクはこちらです。
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