ものづくりの源流に立つ「下請け」

2019年11月8日(金) 東京、11月12日(火) 大阪 SOLIDWORKS World Japan2019開催

 

欧州でネジが盛んに使用され始めたのは産業革命の1800年の初期だそうです。それから遅れること50年近くでしょうか、日本で工業的にねじが生産されるようになったのは、幕末に日本を防衛するため、製鉄所と造船所が建設され鉄船の建造や修理が始ってからのことでした。1860年に、幕府の若手職員が、機械で軍艦を建造するワシントンの造船所にひどく驚き、近代的な工業施設を日本にも作りたいと考えて1本のネジを持ち帰ったのです。生産設備や機械が輸入され始めると同時に、大量のネジも輸入されることとなり大阪にはネジ問屋街も出現します。1900年代(明治時代)に入り、手工業方式によってねじの製造を開始した日本のねじ製造者、また、政府のバックアップによって官営八幡製鉄が本格的なねじの工業的製造を開始し、ねじ国産化の歴史は、イコール、日本の下請け中小企業成長の歴史とも言われてきました。一方、1985年のプラザ合意以降、日本のねじは、輸出する先を失います。ただ、「グローバル化」という名の基に「メーカー基準」さらには「規格標準化」なる尺度ができたことで世界と競争できたのではないかと言われています。 規格品を造ることのできる技術こそが、日本の「品質」言い換えれば「ねじ産業」を支えてきたとも言えます。1950年、ねじを作る町工場としてスタートした株式会社由紀精密(以下、由紀精密)。ねじの製造から精密加工のノウハウを蓄積し、加工ノウハウの生きる設計技術で、航空・宇宙・医療分野での受託開発を多数経験してきました。2014年には、デザインチームを立ち上げ、コンセプト・デザインから販売PRにいたるまで、商品開発のすべての工程を小さな町工場で実現しています。SOLIDWORKS WOLRD JAPAN 2019では、由紀精密技術開発事業部長 永松 純氏をお迎えし、開発途中の製品「小型衛星向け低毒性スラスターユニット」の開発秘話?をご講演いただきます。「時間をかけて1つの製品を開発するようなやり方をすれば、それが失敗した途端に投じたリソースは、すべて無駄になってしまう」。町工場が大会社と同じ成長戦略を持つことができないことを逆手にとり、町工場のポジションを維持しながら新しいことに取り組んでいくというメッセージが楽しみです。

 

 

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