赤札作戦

緊急事態宣言の再々延長に伴い、昨年に引き続き居住空間の改善を迫られている。「改善」という言葉で直ぐに思い出すのは、「トヨタ生産方式」ではあるが、その実践には、強い意欲を持って絶えず自己研磨する人(企業)と、生活(業務)の流れのなかで一時的に良くはなっても努力しない人(企業)とでは、自ずと結果が異なるのは目に見えていよう。家族と言えども、改善に積極的な人とそうでない人が存在するわけで、というより、何を良くしようとしているのか、互いの目的が一致しないため不完全に終わっている。家族という最小単位の社会でさえ実現できないことが、「企業」という社会で実現できるとすれば、徹底的なルールと社員の努力による賜物なのだろう。

 

トヨタが自ら、トヨタ生産方式を語っているサイトがある(https://global.toyota/jp/company/vision-and-philosophy/production-system/)。トヨタ生産方式とは、「異常が発生したら機械がただちに停止して、不良品を造らない」という考え方(トヨタでは、これを「自働化」と呼んでいるらしい)と、各工程が必要なものだけを、流れるように停滞なく生産する考え方(「ジャスト・イン・タイム」)の2つの考え方を柱として確立されたもの」、であると。このサイトには、「s」については全く語られておらず*、どの「S」の字も出てこない。つまり、掲げた「生産思想」を実現していく過程で、3Sまたは5Sが良くなっていったに過ぎないということを忘れてはならないのである。

そしてトヨタ生産方式のルーツは、「徹底したムダの排除」である、と語られている。ムダとは、ある場合は在庫であり、ある場合は作業そのものであり、ある場合は不良であり、それぞれの要素が複雑にからみ合い、ムダがムダを生み、やがては企業経営そのものを圧迫する、とも。誠に、耳が痛い話である。

 

整理。要らないものと要るものを分ける、そして捨てること。これがなかなかできない。「いつか使えるかもしれない」からである。何に使うのか、という目的も無いのに、捨てない。「過去に学習した学習参考書」「購入製品の放置梱包箱」「ラベルの無いDVD」、デスク周りで発生している「ムダ」の例。「賞味期限切れの在庫食品」「使わない食器」「いつ着るの?と思われる衣類」多発している「ムダ」の例だ。人のものは、問題無く「ムダ」と言えるが、自分の所有物は「ムダ」とは言われたくない。などと協力しないでいると、我が家で赤札作戦なるルールが決行された。これ見よがしに、次々と赤札が貼られていく。「赤札が貼られたモノについては、2カ月を経過しても使用された形跡が無い場合は、移動または処分対象とする」というルールの徹底と努力への期待であるらしい。企業においては、責任ある人が、目的(ゴール)を決定し、「ムダ」を除去(整理)することで、整頓し(必要な知恵や技術を必要なときに使える状態にし)、ゴールを達成するための道を清掃すること(ゴミや汚れの無い状態を保持すること)が求められている。捨てられない過去の遺産は膨大で、かつ、広大な保存スペースを占有している。「ムダ」では無いと決断したのなら、整頓する方法を考え「価値」にすべきである。

 

*参考:トヨタ式5S:https://smilehousekeeping.com/blog/archives/5329

SOLIDWORKS

SOLIDWORKS

Dassault Systemes SOLIDWORKS Corp.は、データの作成、シミュレーション、管理、テクニカル コミュニケーション、電気設計、ビジュアリゼーション、コラボレーションを行い、エンジニアリング リソースの革新と生産性を達成するための完成されたソリューションを提供しています。