空飛ぶ救助隊員

空を飛ぶことはもう夢なんかじゃない。空とエクスペリエンスがつながった。「空飛ぶ救急隊員、ジェットスーツの緊急出動実験成功」、10月6日の日経TECHの端っこの記事。実際には、9月29日、英国英イングランド北西部でのできごとである。今年第1回の3DEXPERIENCE WORLD 2020 General Session*で登壇した、あのGravity Industries(グラビティ インダストリーズ)の記事だ。

3DEXPERIENCE WORLDが開催された2月には、「85mph(約時速137Km)を樹立して、3月に開催されるジェットレースに参加する準備をしている」という話題だった。コロナのせいにして、ニューノーマルのうちにあっという間に過ぎ去ってしまったこの数カ月の間に、彼らは、次の大きな一歩を踏み出していた。あの時あのステージで見たジェットスーツは、どちらかというと欧米人の好む遊ぶための道具のように見えていた。まさか、このジェットスーツが「救助」に使われようとしていたとは。

実験は、国立公園の中。谷底から、その上にある事故現場に見立てた場所まで徒歩なら25分かかる距離をわずか90秒で移動したそうだ。この時、ジェットスーツの馬力は、1050hp(馬力)。100馬力とは、75Kgの物を1秒間に100m引き上げられる力のことだから、実際に飛び立った Gravity Industries(グラビティ インダストリーズ)創業者のRichard Browning(リチャード・ブラウニング)が、体重75Kgだったら、1秒間に、1000m以上も上空に吹き飛ばされてしまうぐらいの爆発的に大きな力ということになる。この実験を支援したのは、イングランド北部の広い範囲で航空救急輸送を提供しているグレートノース・エア・アンビュランスサービス(GNAAS)。この空飛ぶ救助スーツは、年間1500件の通報に対応しているGNAASと、ジェットスーツを開発するGravity Industries の1年に及ぶ議論の末の素晴らしい成果なのである。「この技術によってこれまでよりも大幅に早く現場に到着できる可能性があると思っている。多くの場合、患者の苦しみは軽減され、命を救えるケースもあるだろう」と語るのは、グレートノース・エア・アンビュランスサービス(GNAAS)のアンディー・モーソン(Andy Mawson)業務部長。是非、そうあって欲しいと願う。

コロナにより、世界的に医療の提供に負担がかかっている。人間が作ってきた「限界」を超えなければならないニューノーマル時代の到来。Richard Browning(リチャード・ブラウニング)は、グラビティ インダストリーズ(Gravity Industries)を航空業界で認識されている限界に挑戦し、「What if(もし、。。。だったら)を問い続けるために立ち上げたそうである。挑戦に適応した既存製品または利用可能な材料を使用して生まれたアイデアをすばやくテストし、失敗して、失敗して、失敗から学んだ方法を特定し、採用してまた挑戦する。「この世界では、自分の知らない多くの驚くべき進化が起こっている。その進化を使わない手はない」と言うRichard Browning(リチャード・ブラウニング)。このSOLIDWORKSで設計された空飛ぶ救助スーツが3Dプリンター製であるということは、言わずとも想像できよう。

*Gravity Industryのユーザ事例は、3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2020 初日セッションでもご紹介いたします。
(11/10 火- 11:00~)
*3DEXPERIENCE WORLD General Session Day3の模様はこちら>>

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