機械学習

動物の様々な学習行動は、条件づけの手続きを用いた実験で観測されてきた歴史がある。パブロフ条件、とは、犬に餌を与える前にベルの音を鳴らすことで、次第にベルの音を聞くだけで唾液を分泌するという、条件反射の研究観察がもとになった理論だそうだ。歯医者に行って、キーンという音を聞いただけで、何もされていないのに歯が痛くなるように感じる、というのは、まさに、刺激に応答する、というパブロフ条件(レスポンデント条件)と言える。一方、オペラント条件とは、ある行動が、「強化」という機能によって能動的に学習されることを指す。「スイッチを押すことでエサが出てくるハト用の箱」を用意し、空腹なハトを中に入れて様子を観察したことにより考案されたらしい。最初は、「たまたまスイッチを押したらエサが出てきた」というハトが、その経験を何度も重ねるうちに、ハトがスイッチを押す頻度が増えることを発見。スイッチを押すとエサが出てくることを「学習」したことで、ハトが「自発的」にスイッチを押すようになる、という能動的、自発的行動誘発のための条件(報酬)である。

 

AIの中核技術である、「機械学習」。機械学習以前のいわゆるプログラミングとは、データを見る方法、またそのデータを処理する方法、をプログラミングしてはじめて結果を出した。先生がいて、先生に方法を教えてもらって初めて、テストで結果が出せる、という仕組みだ。このプログラミングに代わる「機械学習」のメリットは、指示を出さなくても自分で学習して結論が出せる、という点である。天気予報の例で言えば、過去のデータから、天気を予測する、という単純な学習のように思うが、予測するためには、予測するにふさわしい「データ」「データ量」「データ精度」が必要である。ただし、その量は、1人の人間の脳の記憶容量を遥かに超えるものであり、分析する能力に至っては、一人の人間の手に負えるものではない。

 

機械学習で、何を実現したいのか。機械学習を業務で活用するかどうかのポイントだ。「この仕事は君にしかできない。是非、やり抜いて欲しい」(刺激を与えられる)と、言われてイヤと言うエンジニアは多くは無いと推測できる。さらに「この仕事を任せて良かった。次も頼むよ」(さらなる刺激)と言われると、これまでに無かった心(脳)の変化が表れ、自発的な行動を誘発する。人間は、パブロフ条件やあオペラント条件、心理や環境的要因によって大きく左右される生き物なのだ。が、AIもまた条件定義によって左右されるイキモノなのである。AIが、人間に代わって昼夜を問わず、処理を代行してくれるというのなら、AIにはもっと学習させて自分の分身をつくるというのはどうだろう。人間である自分は、エンジニアらしく、違うことに時間を使おう。小さな子供が、何でも「自分でやりたい」というのは人間のもつ「道具学習」という本能であり、自分が新しい道具を使って学習したことによって「脳」が喜ぶのだそうだ。「過去の成功例にしがみついていてはイノベーションは起こせない」。「思考の俊敏性」を叫ぶ多国籍テクノロジー企業のCEOの顔が目に浮かぶ。

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