平成最後・・・ – 設計者の視点

いずこも、枕詞のように使っていた「平成最後の」言葉も、もうすぐ過去のものになる。バブル経済で始まった平成ではあったが、この30年の間に人々の生活スタイルは大きく変わった。平成の30年は、アナログからデジタルへ大変化を遂げた時代だ。身の回りにあって特に大きな変化を感じるのは、何と言っても携帯電話だ。肩パットの入ったバブルカラーのスーツを身にまとった女性が、肩からかけている大きな箱を「あぁ、そんな時代もあったね」と思う世代のサラリーマンは、恐らく、ポケベルのベルで呼び出され、または、「至急電話」の一行に、慌ててオフィスに電話をかけていた頃を懐かしく思うかもしれない。時を経て、LINEやSkypeなど、1行メッセージや絵文字で早くて簡潔なコミュニケーションが復活したとも言えるわけだが、「話す」という行為を人間から遠ざけている気もする。料金の安価なピッチを子供に持たせて、「何かの時に」に備えた時代は終わり、子供がアクションを起こす度に、保護者にメッセージが送信される時代になった。「道草」という言葉も、死語になりそうである。

 

【日本が誇るトップシェア技術】

アナログからデジタルの時代に突入し、大きく変化を遂げた技術に「カメラ」があろう。日本の製造業が世界市場を席巻した、分野も時代もあったのに、あっという間に世界市場の座を奪われた。そんな中、いまもなお日本製が世界トップシェアを誇っているのが「カメラ」だ。デジタルカメラが台頭し、フィルムカメラを追い越したことは、誰の記憶にも新しい。カメラに疎い筆者が言うのもおこがましいが、カメラとは、カメラ本体と、レンズで成り立っている機械だ。この機械の仕掛けが、アナログからデジタル、電気仕掛けになったことがこの世界を大きく動かした。MF(マニュアルフォーカス)が、AF(オートフォーカス)になる。電気仕掛けをカメラ本体側に入れるのか、レンズ側に入れるのかが企業の特長になろう。いや、限りある動力(電気)をどの機能のために最適化するのか。アナログ操作が大好きだったマニアをも巻き込むために残しておきたい要素は何か。これから発展する技術は何か。これらのバラバラな要素を取り込み、最新の「仕掛け」を組み立てることができるのは、全て設計者であったはずだ。そのイノベーション(技術革新)を支える裏側には様々な汗と涙があったのだろう。

 

【次の時代の流れを変える技術とは?】

時代も変わった、と言うのはたやすい。一方で、時代の流れを作った人達がいる、という事実は理解したい。日本製の「カメラ」は、明らかに世界を変えた。しかし安住してはいられない。スマートフォンのカメラ技術は、一眼レフのカメラ技術ではないし、他国が既に先行しているというニュースも聞く。スマートフォンともなれば、この技術を手にする数は桁違いになろう。カメラ技術の発展は、撮った画像を「映える」ものにする技術を生み、映える画像をさらに「拡散させる」場所をも作った。逆に、スマートフォンのカメラ機能に満足しない平成生まれの若者達が、写真を撮る技術を磨くために通う「スクール」ビジネスまでも潤した。「機械」の進化が、どれだけ世界を変えることができるのか。第三次産業革命時代に生まれたわけではないエンジニアには、新たな野心を持ってほしい。

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