鈴鹿8時間耐久レースに、9年振りに日本人レーサーとともに参戦復帰
三重県鈴鹿市に本社を構えるモリワキエンジニアリング は、創業45年の歴史を誇る世界的な自動二輪・四輪の部品メーカー
レース用バイクの部品というと、「特別なものづくり」をイメージするかもしれない。しかし、同社レース部 課長 高橋宏史氏 は、「通常のものづくりと基本的な考え方は変わらない」と話す。ただし、設計・開発・製造のすべての工程で「ものづくりに要求されるスピード感がまったく違う」。世界選手権に参戦すると約半年間、毎週のようにレースが開 催される。たとえば転倒などで車両が故障したら、次のレー スまでに部品を作り上げなくてはならない。マシンの調子がよくなければ、さまざまな部品の細部の微調整も必要になる。「設計、開発、製造のすべてにおいて“時間”という制約の中での勝負が続く」。もちろん、だからといって「スピード優先」で考えれば良いわけではない。「部品ひとつひとつがライダーの命にかかわります。品質や安全性も徹底的に考え抜かなくてはなりません」とも。つまり、スピード、品質、安全性のすべてが要求さ れるというわけだ。同社がSOLIDWORKSを導入したのはおよそ10年前。SOLIDWORKSの導入を決定した最大の 理由は、やはり「時間短縮」だ。以前は、マフラーを1本作る 場合でも、手で曲げたり合わせたりして現物と突き合わせ て確認していた。「3次元CADの活用によって、大幅に効率 化できた」と、高橋氏。同社では、時間短縮以外にも SOLIDWORKS製品を導入した効果をさまざまに実感している。そのことは、高橋氏の「ものづくりのスタイルが変わりました」という言葉に示されている。具体的には、3Dの計測器、 3次元CAD、3Dプリンターという、ものづくりにおける「インプットとアウトプット」の機器が揃ったことで、ものづくりにおける「一連の流れが確立された」のだ。 デジタルで部品を設計する場合には、元の形状を正確に把握 する必要がある。まずは、3D測定器とスキャナーによる取り込み、 3次元CADツールの中で確認し、ある程度設計が進んだら 3Dプリンターで出力する。その試作品を、実際にオートバイに取り付けて詳細を確認し、量産に移行するというサイクルができあがっていった。高橋氏は、こう付け加える。「ものづくりの原点は、やはり 現場にあると考えています。 現場を知っている設計者が、うまく3次元CADを使って設 計するからこそ、品質も安全性も高い部 品ができるのです。その意味では、3次元CAD も3Dプリンターも現場をよく知る設計者が『どう活用していくか』がもっとも重要になります。 3次元CADなどのツールを活用する時代だからこそ、ただ使うのではなく、常にアイデアを持って使いこなすことが大切になると思っています」 と。SOLIDWORKSの活用によってさまざまな効果を実感して いる同社だが、今後は、どのような方向で活用していくのだろ う。高橋氏は「3次元CADはあくまでもツール」という。「バイクを整備する時の工具と何ら変わりはなくて、結局それをどう使うかが今後の課題だと考えています」とも。その上で、「常にアイデアを考えて、どうすれば同じものを安く早くで きるかなど、そういうことを考えるのがエンジニアの一番面白いところで、かつ難しいところだと思います。その過程をい かに楽しむか、改革を起こすことを楽しんでできるかというのがこれから取り組んでいきたいところです」と語る。 「部品の開発では『これで終わり』ということは無い、と断言する。
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