MBD 導入における 10 の注意点 – トップダウンで推進する

MBD 導入における 10のポイント」ブログでは、MBD 導入における 10 の必須事項と 10 の禁止事項を 3 つの主要要素ごとにまとめました。

  • 人: 組織の構造と意識
  • プロセス: 手法、手順、ツール
  • 製品::製品設計と製造

表 1: MBD 導入における 10 の注意点

どんなときでも最も重要なのは人々です。そもそも人がいなければ何も始まりません。そこで、今回は人にかかわる 1 つめの注意点「トップダウンで推進する」について解説します。

MBD を個々の技術革新と同様に捉えてはいけません。MBD 導入を成功させるためには、経営陣のサポートを得た上で、ボトムアップではなくトップダウンで展開することが不可欠です。3 次元の製品製造情報(PMI)や関連ドキュメントは、工程設計、プロジェクト管理、ツーリング、製造、加工、組立、検査、購買、サプライチェーンといった数多くの下流部門や後続工程に影響を与えます。これほど広範囲の変更に 1 人または 1 部門で対応できるはずはなく、大規模な取り組みが必要とされます。したがって、上層部からの後押しと調整が欠かせないのです。

経営陣のサポートを得られると、スムーズに展開するための資源、予算、時間、設備も確保しやすくなります。また、部門間で連携しながら問題解決に当たる方が、はるかに効果的かつ効率的です。例えば GE パワー & ウォーターでは、2012 年に開発担当副社長が 2013 年度の業績測定基準の中で「100 個のガスタービン部品を MBD アプローチで設計・製造すること」と明示しました。さらに後任者も、2014 年度の業績測定基準の中で 125 個の部品に MBD を適用することを求めました(情報源: 『Model Based Enterprise at GE Power and Water (仮訳: GE パワー & ウォーターにおけるモデルベース企業への取り組み)』、Prashant Kulkarni 氏、2014 年)。こうして上層部が関与した結果、開発部門や製造部門の関係者全員が行動を起こし、着実に適切なタイミングで導入を進めることができたのです。

ボトムアップで推進しようとすれば、相当なストレスを抱えることになります。というのも、MBD 導入は鉛筆と定規の手書き図面から CAD に移行するのと似たようなもので、幅広く連携しながら実験を重ね、成果につなげていくプロセスを伴うからです。トップダウンで指示しない限り、主要な関係者全員が意欲や時間を割いてくれるどころか、MBD の説明を聞く余力すらないでしょうし、ましてや日常業務を変えることなど不可能です。「次回の検査から 2 次元図面を取りやめろなどと、何の権限があって口出しするのか? その提案通りに変更して、もし失敗したら誰が責任を取るのか?」 これは導入推進チームによく投げかけられる質問ですが、経営陣のサポートが裏付けにあれば、自信を持って返答できるでしょう。

今後のブログでは、上層部のサポートの取り付け方、反対意見の対処法、周囲の参加意識の高め方について、引き続き「人」の観点から解説します。どうぞお見逃しなく。SOLIDWORKS MBD についての詳細は 製品ページをご確認ください。また、Twitter (@OboeWu)あるいは LinkedIn (OboeWu)でのディスカッションにもご参加ください。

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吉田 聡

吉田 聡

マーケティング部 ポートフォリオ イントロダクション スペシャリスト