MBD 導入における 10のポイント

モデルベース定義 (MBD、図 1)とは、製品の製造情報(PMI)を取り込む手法です。寸法、公差、データム、部品表(BOM)、表面仕上げ、注記、溶接記号、関連するメタデータといった PMI を 3D CAD ソフトウェアの 3D ソリッドモデルに付加することで、それぞれの構成部品や製品アセンブリの仕様を指定します。これらの仕様は従来、2D 設計図面として提供されてきました(図 2)。

ご覧のとおり、MBD ははるかに直感的で読み取りやすく、PMI も 3D 内にしっかりと取り込まれています。これが設計の原本となるため、曖昧さの回避や設計変更の直接同期に役立つほか、後工程の製造アプリケーションでもインテリジェントな 3D データを一括で再利用することができます。


図 1: モデルベース定義

図 2: 2D 設計図面

MBD は 3D 空間の中で生きている人間の認知機能に適しており、理にかなった選択であると言えます。実際、SOLIDWORKS ユーザーの 58 パーセントは、2D 図面を削減するために寸法と公差を 3D で直接定義することを検討していますし、心強いことに、20 パーセントは実際に行動に移しています(情報元: SOLIDWORKS 顧客ベース調査、2015 年、サンプル数: 524)。
SOLIDWORKS MBD は 、DimXpert や eDrawings といった SOLIDWORKS の既存機能を活かして構築されています。お客様の MBD に関する要望を叶えるための専用の製品です。この革新的な製品をきっかけに、MBD を導入するか否かではなく、どのように導入するかを検討するエンジニアが増えています。また、以前投稿した「How to get started with Model-Based Definition」や「MBD User Success Stories」などのブログは、類似記事の数倍の閲覧数を獲得しました。とはいえ、まだ多くの疑問点も残っています。例えば、

  • この変革によるカルチャーショックにどう対応するか
  • さまざまな部門の参加意識をどう高めるか
  • 反対意見にどう対処するか
  • どのような新しいプロセスを確立するか
  • 製造現場やサプライチェーンとのコミュニケーションをどう図るか
  • 製品設計と製造のどこを変えるか
  • インテリジェントな 3D 製造アプリケーションをどう活用するか

いずれの疑問も奥が深く、大局的かつ実用的な答えが求められます。

まずは先人の経験と知恵から学びつつ、一歩ずつ進んでいきましょう。世界中の製造業のさまざまな経験を基に、MBD 導入における 10 の必須事項と 10 の禁止事項を表 1 にまとめました。このブログシリーズでは、これらの 20 項目を 3 つの主要要素ごとに分類し、一つずつ解説していきます。

  • 人: 組織の構造と意識
  • プロセス: 手法、手順、ツール
  • 製品: 製品設計と製造

ただし、このまとめは出発点にすぎず、詳細な導入ガイドではありません。実際の導入には、さらに深い分析はもちろん、個々の製造プラクティスに応じた具体的なカスタマイズが必要です。また、各項目の内容はものづくりの現状に基づいています。理想のシナリオにも触れますが、話題の中心はあくまでも、一般的なメーカーがすぐに導入できる実践的な手法です。

表 1: MBD 導入における 10 の注意点

このブログシリーズを今後もどうぞお見逃しなく。SOLIDWORKS MBD についての詳細は SOLIDWORKS MBD製品ページをご確認ください。また、Twitter (@OboeWu)あるいは LinkedIn (OboeWu)でのディスカッションにもご参加ください。

吉田 聡

吉田 聡

マーケティング部 ポートフォリオ イントロダクション スペシャリスト