MBD 導入における 10 の注意点 – 導入推進チームを設置する
モデルベース定義(MBD)を題材としたこれまでのブログでは、「躊躇しない」(Part 1、Part 2)を取り上げました。今回は人にかかわる 2 つめの注意点「導入推進チームを設置する」について解説します。MBD 導入の主導権を握り、反対意見をやり過ごす上で、専門の対策チームは絶対に欠かせない存在です。このチームは、成功に対して報酬を受ける一方で、失敗に対する責任も負います。
チームには主要な関係部門から偏りなく代表者を集め、その関心事や要望を代弁してもらうと同時に、各部門で変革を推進するリーダーを務めてもらいます。チームのサイズは導入範囲によっても異なりますが、設計、製造、品質の各メンバーを揃えるのが一般的です。IT 部門はソフトウェア、ハードウェア、製品データ管理、ライフサイクル管理、システム管理などを担うため、ここも主要なメンバーとなりえます。IT から提供されるプラットフォームはあらゆるものの実行に不可欠です。また、工程設計、ツーリング、組立、調達、サプライチェーン、サービス、財務などがメンバーに入る場合もあります。
それでは、チームの総責任者と部門別の責任者を決めていきましょう。チームのリーダーは非常に重要です。まず職権の面では、事務手続きを省略できる権限を持っていなければなりません。人材、予算、時間、設備といった必要な資源を管理する役目があるためです。次に職責の面では、業務評価基準に MBD 導入に関する重要業績評価指標(KPI)を設定し、最重要メンバーとしてのモチベーションや責任感を持たせる必要があります。また、設計・製造プロセスに詳しく、MBD に情熱を注ぎ、大胆な行動を厭わないことや、ストレスや障害に屈しない精神力も求められます(ちなみに、最初は MBD に熱心だったリーダーが諸々の課題に直面した結果、導入推進チームを抜けてしまった事例もありました)。さらにプロジェクト管理能力を備えていれば、コミュニケーションの円滑化、作業の調整、進捗や予算の監視、変革前後の結果の評価など、さまざまな場面で大いに役に立ちます。
各部門を代表するリーダーについても同様です。MBD に情熱を持っている人物を選定し、業務評価基準に MBD 導入の KPI を設定する必要があります。もう一つのポイントとして、代表者の候補はただ無作為に選んではいけません。MBD はパラダイムシフトそのものなので、各自の部門で大変革を推し進めていく統率力が求められます。以下に、部門ごとに予想される変革の例をまとめました。各代表者は常にこれらを意識しなければなりません(表 2)。
表 2: 各部門における変革の例
今後のブログでは、周囲の参加意識の高め方、適切なペースの保ち方など、人にかかわる題材を引き続き取り上げます。SOLIDWORKS MBD についての詳細は product page (製品ページ)をご確認ください。また、Twitter (@OboeWu)あるいは LinkedIn (OboeWu)でのディスカッションにもご参加ください。