飛行機は環境に悪い

 

国際的な航空機リース会社であるAVOLON(https://www.avolon.aero/)は、世界の民間旅客航空保有機数は2042年までにほぼ2倍となり、94%増加する、と予測する報告書を発表した(参考:https://www.aircraftinteriorsinternational.com/news/the-global-passenger-fleet-is-forecast-to-almost-double-by-2042.html)。報告書には、この成長はCOVID-19感染症による渡航制限以降に見られた急速な回復を基礎とした航空旅行需要の持続的な成長によって支えられていると述べられている。この成長の原動力は、インド、中国、アジア、ラテンアメリカなどの新たな中間層の消費者だそうだ。ナローボディ機(内部の通路が1つしかない旅客機)がより多くの乗客を収容できるようになり、大陸横断飛行ルートにも挑戦できるようになったことで、ナローボディ機の成長率が、ワイドボディ機(内部の通路が2つ以上ある旅客機)の成長を上回るとも予想されている。飛行機メーカーと言えば、AIRBUS(https://www.airbus.com/en )とBoeing(https://www.boeing.com/)。ワイドボディ機では、エアバスが有利かと思いきや、AVOLONは、Boeingがワイドボディ機のシェアリーダーとなり、AIRBUSが、ナローボディ機のシェアリーダーになることを見込んでいる。2050年までに「NET ZERO EMISSION(炭素排出実質ゼロ)」に挑戦するという航空機業界は、燃料効率の高いエンジンを搭載した最新の航空機開発、飛行計画の最適化、持続可能な航空燃料 (SAF: Sustainable Aviation Fuel ) への転換または新しい燃料の開発など、目標を達成するための多くの戦略を追求している。

 

飛行機の開発期間は、だいたい10年サイクル。そして商品寿命は、20~30年程度。Boeing777機(座席数350)で部品点数は、300万点にものぼる。一方、自動車は、通常の開発期間が、1~2年、商品寿命は、4~6年ぐらいで、部品の共通化により2~3万点程度に抑えられている。航空機産業では、国際基準に照らした認証・証明の取得や厳しい品質管理を要求されることが多く、厳格な品質管理(工程管理・検査)が行われる。航空機産業で発展した技術が、様々な産業分野に応用される。また逆もしかりで、他産業で開発された先端技術が航空技術に採用され、高度化していく。このような特徴を持つ、航空機業界が、「NET ZERO EMISSION」という、大きな公約?を掲げたわけだから、そのリスクは決して低くはなかろう。10年の開発期間は決して十二分ではないはずなのだが、その中でも「持続可能性」を追求すべく、可能なアプローチの1つとしているのが「重量削減」である。より軽く、かつ再利用可能な新素材からつくった客室パーツを導入するだけでも、客室の重量を大幅に削減できる、と各サプライヤーとの連携を強化している。(https://www.aircraftinteriorsinternational.com/news)。直接、飛行機メーカーのソリューションにはならないかもしれないが、搭乗者が、機内食を、搭乗前に選択しておくことで、積み込む食料品量を減らし(重量削減)、フードロスにもつながる施策も考案されているらしい。アイデアは、ソリューションに即直結することが期待できそうだ。

 

1936年に開発された「零戦」は、長大な航続距離、重武装、優れた運動性能、軽量化と空力的抵抗を徹底的に追求した世界の頂点に立ったと言えるほどの戦闘機だった(引用:https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%9B%B6%E5%BC%8F%E8%89%A6%E4%B8%8A%E6%88%A6%E9%97%98%E6%A9%9F) 。理由は諸説ありそうなので、ここで敢えて述べないが、第二次世界大戦の敗戦により、約7年に渡り、国内での航空機生産はもちろん、研究、教育に渡る全ての活動が封じられたことは事実である。零戦に込められた日本の技術は、裏をかえせば「エンジン出力の劣勢」が生んだ発想の転換だ。今や、持続可能性への取り組みを行っていない企業はないといっても過言ではない。飛行機の環境に及ぼす影響は大きい。航空機業界ほど、持続可能性の取り組みを求める「圧力」を受けている業界は無いだろう。「我が社は、航空機業界とは無関係だから」、「今年も異常気象なのか」などと言っている場合ではない。航空産業界は、持続可能性戦略のあらゆる側面に適合する世界中のソリューションとサプライヤーを本気で探している。同じ志を持つ製造業が協業することで「NET ZERO EMMITION」を実現させなければならない。

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