良いサービス
家電量販店の台頭により、街のでんきやさん(日本最初の系列電器店ネットワークとして発足したパナソニックの系列店)は、役目を終えたようにひっそりしていたかと思いきや、超高齢者社会を目の前に、ワンストップサービスが見直されたためか、メーカー側が資本関係もない系列店に事業継承支援を行い、その経営を支えようとしている。パナソニックショップからの売り上げは、パナソニックの家電事業における国内売上高の約2割。60代以上の高齢者層のお客はもちろん、30~40代のファミリー層もターゲットに入れ、新しいビジネスモデルを構築しようと試みている。パナソニックブランド家電商品の卸販売、および修理・サービス業務を手がける「パナソニックコンシューマーマーケティング株式会社」は、2021年より、パナソニック家電製品正規取扱店制度を開始し、全国25,000店以上の販売店が、パナソニック家電製品正規取扱店となった。2019年当時、パナソニックの系列店(パナソニックショップ)は、約8,000に過ぎなかったのだが、3倍を超える正規取扱店を持つことで、商品価値の伝達、購入後の設置・工事、アフターフォロー、対応の品質を一律に保ち、顧客満足度の向上に邁進している。そういえば、街のでんきやさんは、一時期、開店しているのか、と思うほど店内は薄暗く、放置されているダンボールが目立っていたが、最近は、気のせいか、こんない明るくていいのか、と思うほど明るく感じるし、お勧め製品が展示されているショールームとしての機能を立派に果たしているような気がする。
ワンストップサービスとは、一か所で全部終わらせることができる、サービスの形態のこと。お客様が、「すみません**ありますか?」と、お店のドアを開けたら、その後は、お店を出ることなく全てのサービスを受けることができる。もちろんFace to face (対面して)である。ここで、お客様を獲得できるか、できないかは、大きな分岐点ではある。しかし、「お客様」は確実に質問に対する回答を得ることができ、もしかしたら、満足して製品を購入してしまっているかもしれなし。これに対し、広くお客様を招きいれることのできるドアが、Webサービスだ。「ご質問はありますか」というドアを開けば、店舗に出向くことなく質問ができて、回答をもらえる。また、数秒で、違う製品(お店)を探しにも行ける。お客様からすれば、良いサービスなのだろう。しかし、この「ご質問」の入り口が多すぎて、どこから質問して良いのかわからないことがある。「売る側」のプロセスにお客様を引き込もうとしていることがあまりにも多い。「そんなに難しいことを聞きたいのではない」と感じたお客様は、恐らく、ネット検索するだろう。最近は、Google先生のほうが、よほど質問に近い答えを探し出してくれる。一方、ネット検索しても「質問」に対する答えが出てこない場合が問題だ。できることばかりを掲載し、お客様を満腹にさせる時代ではない。使い方の間違い、不具合の発生情報、全て含めてサービスである。そして、恐らく、街のでんきやさんと同様、お客様からの小さな質問に対して、親身になって、素早く対応してくれる企業が選ばれることは間違いない。良いサービスを提供する企業は、本当にお客様のことを考えているはずだから。