ドローンは80年。自転車は200年?

ドローンとは、「雄のハチ」の意味でもあるらしい。そして、戦争のために開発された無人飛行機の名称である。80年以上前、第二次世界大戦で活躍するはずだったドローンは日の目を見ることはなかったらしいが、数十年を経て、今、十二分に軍事利用されている。そして、戦争のために開発されたドローンに、模型飛行機用の日本製エンジンが転用されたというニュースに複雑な感情を持つ日本人も少なくないだろう。一方で、ドローンの普及が様々な分野に影響を与えていることも事実であり、医薬品の配送、ピザやコーヒーの宅配など世界中で活躍の場を広げている。頻繁に発生するようになった自然災害による被災者の捜索や救助、被災状況の確認や調査に、このドローンが大きな役割を果たしている。ひと昔前には考えもしなかった真夜中の果実や作物の盗難事件。その防止にも一役買っている。無人飛行機という1つの技術が、市場に則して柔軟に利用できることが、その発展をもたらした。

人類は、車輪というものを発明した後、車輪を横に並べた馬車などの製品はかなり早く開発されたが、車輪を縦に並べた発想を思いつくまでに、相当の時間がかかっている。一説によれば、遊具であった木馬に車輪を付けて地面を蹴って進んだのが自転車の始まりであるという。初めて発明された自転車には、ペダルは無かった。近年、自転車のようにまたがって乗り、足で地面を蹴って進む、ペダルのない二輪遊具が、補助輪を超える勢いで普及している。自転車の原型から20年足らずでペダルを付けた自転車を開発した人類は、ペダルを取り外すのに、なんと200年も要したことになる。が、ペダルの代わりに、オプションパーツを付ければ、木馬にトランスフォームし、スキーオプションを取り付ければ雪の上も走行できるようになった。車輪を縦に並べる、という1つの発想は市場の変化と共に進化し続けている。

あとたった3年後には、量子コンピューティング技術が益々進化し、実世界の重要な課題への取り組みに使われるようになると言われている。この技術の主な用途のひとつに、複雑な化学反応のシミュレーションがある。新薬開発の新たな道を切り開く強力なツールとなるだろう。製造業においても、この技術の有効な利用方法があるに違いない。作っては壊す、作っては壊す、という物理的な開発方法を一新し、もっと地球にやさしい開発プロセスになる。発想の組み合わせは無限大に広がるだけでなく、それを瞬時に分析できる時代がすぐそこまで近づいている。さらに、5Gネットワークの普及により、スマートファクトリー、リアルタイムモニタリングが実現する。コロナ感染拡大のために私達の社会は大きく変化してしまった。そして、コロナ前の環境には戻れないことも理解している。製品開発に数十年を費やせる余力はない。だとしたら、来る時に向け、データを集約し、状況に応じながら変化できる「ものづくり」を始めていくべきであろう。

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