論理的思考力と直感力

「何を言いたいのかわかならい」「説得力が無い」と言われて、しょんぼりした経験はないだろうか。自分の主張を構成する矛盾しない道筋(論理的:Logical)の立て方、に欠けていることが原因だそうだ。問題にぶちあたった時、どういう思考を経て、結論に至ったのかを明確に説明できるようになるには、この理論的に物事の筋道を考える思考力を鍛える必要があるらしい。この理論的思考力を身に着けるための基礎的な技術としてMECE(ミーシー)というのがある。M:Mutually(互いに) E:Exclusive(唯一の) C:Collectively(全体として) E:Exhaustive(網羅する) の4つの単語からできており、直訳すると、「重複もせず、漏れもない」とうこと。筋道には「重複も無く、漏れも無い」ようになっているかどうかを詳細に確認する、ということである。さらに、So What ?(何が言いたいの)、Why so ? (どうしてそうなるの)という質問を繰り返して、思考を深くしていくことも必要なようだ。

 

 

理論的思考とは、経験や事例を増やして、具体的に考える力を身に着けることで、何とか鍛えられるような気がする。「経験」とは、重宝なもので、過去に発生した「問題」を解いた思考は、情報として蓄積される。経験が長ければ長いほど多種多様な情報が蓄積されているわけで、全体像を把握すること、全体から1つ1つの詳細項目に切り分けること、さらにMECEになっているかどうかを追求すれば良いわけだから、繰り返すことによって、確実に「効率化」が図られるわけである。

まさに、設計現場では、この論理的思考がフル回転していると言えるだろう。効率化、品質向上、生産性の向上、という製造業における課題は多くの理論的思考で解決されてきたのかもしれない。この理論的思考力と相対する能力に、「直観力:ひらめき」がある。理論というのは、誰がやってもほぼほぼ同じ結果に行きつく、のに対して、直観というのは、100人いれば100種類の結果に到達する可能性がある。つまり、理論的思考は、機械化が可能だということ。さらに、AIの思考回路で代用可能、と言っても過言ではないのである。

 

 

「イノベーティブな発想」とか「イノベーティブな製品」とか、一握りの「ひらめき」を持つ人のアイデアが優遇される時代がやってきたのだろうか。いや、それは筋道の立て方に欠けた思考である。まさに、So what ? Why so ? と問いたい。

直観力でさえ、失敗と成功を繰り返してきた「経験」によって鍛えられた力であることを忘れてはならない。人間には、もともと、自分の経験を認識する能力、2つ以上の関係を認知する能力、そして、関係するものに相関した性質を認知する能力、という3知能が備わっている。要は、その3知能を活かす努力をしているかどうかだ。そしてその知能を引き出す基本となるのは、興味を持って能動的に動く力:好奇心 であることも、また忘れてはならない。AIにとって代わられない、人間の生活をより豊かにするための製品を創造する好奇心が問われている。

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