3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2023 閉幕 ~その1

2023年の3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2023は、先週、12月1日(金)に1日限りのオンサイト開催で、閉幕いたしました。久ぶりに見る会場満席、立ち見の状態にスタッフ一同、お客様にお会いできる喜びをかみしめました。

ご来場いただきました皆様に心から御礼申し上げます。

 

余談ではありますが、イベントが開催された虎ノ門には、2020年虎ノ門ビジネスタワーが竣工されました。世界と都心部をつなぎ、日本独自のイノベーションを創出する拠点として、交通アクセスも向上し、グローバルビジネスセンターとしての重要な構成要素のひとつとなる、インキュベーションセンター「ARCH」もあります。SOLIDWORKSが、人、アイデア、データとそれらを結ぶソリューションをつなげようとしているのに対し、この施設でも、人、モノ、お金、情報などを「リソース」と考え、大企業内部における事業改革はもちろん、新規事業創出を支援することで、イノベーションエコシステムの拠点となることを目指しているそうです。時代は変化しています。

 

迎えた12月1日。3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2023のテーマは、「IMAGINE~発想する次の時代に向けて」

ここでは、このイベントで発信された、基調講演の内容をご紹介いたします。

 

「SOLIDWORKSは、今でも、1つの情熱を持って製品開発に取り組んでいます。お客様のビジネスを成功させる、さらに良いものを可能な限り速く造る手助けをしたいのです」と語り始めたのは、3DEXPERIENCE Works & CRE担当 Senior VP Gian Paolo Bassi です。

私達は、2012 年に、「製品、自然、生命の調和」が弊社の持続可能なイノベーションの定義であると発表しました。しかし、残念ながら多くの皆様に、社会に利益をもたらすために科学技術を活用する、というこの取り組みの意味は深く理解されなかったように思います、と振り返りました。

仮想化により、私たちは無駄を省きながら製品寿命を考慮した設計に取り組み、循環的で総合的なアプローチによって創造と生産のプロセスを変革してきました。私達は、企業と社会全体が、地球が得るもの(フットプリント)と地球に返すもの(ハンドプリント)を測定し、バランスを取ることを可能にします。これが、私たちがeco-bill と呼ぶものです。

3DEXPERIENCE プラットフォームを使用することで、物理的なプロトタイプを使用せずに、製品、材料、製造プロセス、またはシステム全体の仮想ツインを設計し、その潜在的な機能をすべてテストすることができます。 仮想の世界は、地球の自然環境とその資源を尊重した方法で、アイデアを表現しテストするための空間として機能します。 言い換えれば、これは、お客様がビジネスモデルをより持続可能なものに変革するのを支援する重要な手段だと思います。

弊社は仮想世界 (3DEXPERIENCE ユニバースと呼んでいます) を使用して、製品、自然、生命がどのように調和して相互作用するかをより深く理解し、シミュレーションできるようにすることに取り組んでいます。目的主導型の企業であることは、市場で高いレベルの信頼と信頼を生み出すことにもつながるでしょう。

最後に、日本では、今年10月から、全てのデスクトップSOLIDWORKSユーザー様に3DEXPERIENCプラットフォームを提供し、現代のモビリィ環境に適応しながら協業をさらに加速するまさに「土台」を作りました。「新しい価値」は、人、アイデア、データとそれらを結ぶソリューションによって創造されるのです。SOLIDWORKSおよび3DEXPERIENCE プラットフォームは、皆様の世界をターゲットにした製品開発の手助けをします。しかし、そのゴールに到達することは容易いことではありません。ますます不安定になる経済環境において、敏捷性と回復力が求められるでしょう。そんな環境の中でさえ、持続可能でイノベーティブな製品を開発する皆様の課題の解決を、私達は支援し続けます、と締めくくりました。

 

Gian Paolo Bassi に続いて登壇したのは、SOLIDWORKS CEO Manish Kumar です。実は、彼が、日本でこの種のイベントのステージに立つのは初めてのことで、彼自身感慨深いものがあったかもしれませんR&DのVPであるManishにとって、世界中の情熱のあるSOLIDWORKSユーザー様と関われることはとても嬉しく、大変貴重なことでだからです。特に日本のお客様の要求は厳しいことを心得ています。そしてそのことに心から感謝しています、ともコメントしました。

Manishのストーリーは、Re-Imagine Design (設計を再認識する)がテーマでした。イベントテーマが、”Imagine”なのに、”Re-Imagine”とは。。開発の長である彼こそが、現状維持に満足せず、進化することに挑戦し続ける姿勢を見せていることの現れだと感じます。最初の動画は、70歳のRobertさんが、駐車場で倒れるシーンから始まりました。彼の命は、Boston Scientific社がSOLIDWORKSを使って開発した小さなデバイスによって救われました。 Robertさんの体に埋め込まれたデバイスは、不規則な心拍リズム、心不全、突然の心停止を監視することで、医師の診断をサポートし、治療するという画期的なテクノロジーです。こんなことを皆さんは、常に行っているわけです。SOLIDWORKSを使って。。。

このように皆さんの開発している製品は益々進化しています。今日は、私の「設計を再認識する」というストーリーを3つのチャプターに別けてお話したいと思います。1つめは、成長しつづける要求に応えるために、拡張性のあるポートフォリオが必要だということ。昨今のウェアラブルデバイスは、機械的な、電気的また電子的な部品が必要です。それだけで十分でしょうか?実際には、信頼性と堅牢性は欠かせないのです。科学的な検証が必須です。そのためには何が必要でしょう。2つめは、クラウド環境で協業する、ことの再認識です。中学生、小学生、若い次の世代の人達は、すでに「デバイスに依存しないツール」を使い、その環境に慣れています。今更、持ち運びできないデスクトップ型のPCを使うでしょうか?私達は、皆さんにオプションを提供しました。on the Cloud、with the Cloud。それは、皆さんがCloudへの準備ができた時に、あくまでも皆さんのオプションとしてご活用いただけるものです。最後は、私達が、皆さんの未来を守るために何に投資してるかに関するお話。R&Dへの大きな投資により、皆さんの設計環境は変化していくでしょう。私は、これから訪れる重大な変革のまさに始まりの段階にいるのだと強く信じています。そして、それが私たちを単なる「製品」ではなくエクスペリエンス(体験)の提供へと駆り立てるのです。それらのエクスペリエンス(体験)を提供するためにも、デザインを再考する必要があります、と締めくくりました。

 

 

基調講演最後の登壇者は、きづきアーキテクト株式会社 代表取締役 長嶋聡様のご講演です。

「物価も労働生産性も上がらず、平均給与は横ばい。結果、一人当たりGDPの成長率も1前後で推移。付加価値が足りない」

「ここ数十年、日本は、物事が複雑化する中、目先の仕事に忙殺され、新しい価値を生み出せない悪循環に陥っていた」 一方、欧米では何が起こっていたのか。日本企業の強みは何か。日本企業の「現場力」を強化するために、AIやロボットを使うことで「人を中心においた明るい未来」を創り出せるのではないか。ふむふむ。。。と納得できるコメントが続きます。

長嶋様が考えるのは、「新しい価値の創造(および生産性)」= 創り出した価値 / かけた時間 という計算式において、これまで、かけた(かける)時間を減らすことに注力してきた日本企業は、分子(新しい価値構想)の量産に注力すべきではないか、と問いかけます。

そこで提唱されるのが「和ノベーション」

  • 和ノベーション:日本の企業や個人が持っている潜在力(ありもの)を見える化し、組み合わせ、未来を描く
  • 話ノベーション:部門、企業、業界を超えて、描いた未来や新たな価値、その実現方法についての知の対話を促進
  • 輪ノベーション:未来志向で、想い・志を共にした仲間が集い、異なる様々な能力の輪を繋ぎ、能力を拡張

志のある仲間が増えるほど、生み出す価値総量を大きくできる、「価値の量産」ということです。

今を基盤にしつつ新しい世界感をつくった企業例。「ありもの」の組み合わせでスピード感と多様性を実現した企業例。匠の技を、デザイナーやベンチャーの持つ構想の実現に活用してもらい新しい価値を共創する例。様々なタイプの事例が紹介されました。

日本がこのままで終わらないためにも1人1人のマインドセット、自分の能力強化も必要だとコメントは続きます。

 

パンデミックから3年。

環境は明らかに変化しました。この変化を味方につけるのか、敵にまわすのか。

日本人は、本当に変化を嫌う人種なのでしょうか。慣れた行動は変えたくないですし、わざわざ変えるために労力をつかいたくない、と思うのは日本人だけではないと思います。「勉強しろ」と言われても反抗的になって勉強しなかった若かりし頃。強要、強制されるのではなく、自分の意思で納得して変化したい、という感覚が持てた時、Gian Paolo Bassiの、Manish Kumarのコメントの意味が腹落ちするのかもしれません。

 

3DEXPERIENCE WORLD JAPAN 2023に残念ながらご来場いただけなかった皆様、また、さらに私達からのメッセージを深堀してみたい皆様には、次のイベント、2024年2月にUSで開催される 3DEXPERIENCE WORLD 2024 をご紹介します。SOLIDWORKSの挑戦を見続けていただければ幸いです。

SOLIDWORKS

SOLIDWORKS

Dassault Systemes SOLIDWORKS Corp.は、データの作成、シミュレーション、管理、テクニカル コミュニケーション、電気設計、ビジュアリゼーション、コラボレーションを行い、エンジニアリング リソースの革新と生産性を達成するための完成されたソリューションを提供しています。