一石二鳥!ラティス構造で軽量化と強度向上を実現
今日の設計チームの設計理念は「効率」です。 品質やパフォーマンスを犠牲にすることなく、最小限のリソースを最大限に活用すること。 これを実現するために、多くの人が自然界のカタチをマネするようになり、それが何千年にも渡って進化した結果、多くの効率的なソリューションが生み出されてきました。 強度と重量の比率の問題に対する自然界の解決策の 1 つとして、ラティス(格子)構造を使用すること、があげられます。ラティス構造では、繰り返しパターンによって、強度と軽量の両方を備えたオープンセル構造が作成されていきます。
雪の結晶、魚の鱗、蜂の巣、または骨内部の小さなラティスパターンから、多くの設計者は、そのような自然からのインスピレーションを得て、製品効率を向上させるためにラティス構造を利用した製品を開発しています。鋼製の橋や塔、門、フェンス、家具、さらにはチェリーパイ生地などの食品のデザインにもラティス構造は特徴的です。
自然からインスピレーションを得た構造を使用することは新しいことではなく、航空宇宙産業では長年にわたって構造外板の間にハニカムコアを使用してきました。 ハニカムラティスパターンで巣を作るミツバチにヒントを得たこれらのハニカム構造は、高い強度を保ちながら、材料を最小化でき、軽量化、コストの削減を可能にします。
しかし、ここ数年で、積層造形が広く採用され、使用されるようになったという著しい変化が認められます。積層造形法を適用することで、従来の製造プロセスではこれまで作成できなかったラティスのような非常に複雑な構造を作成できるようになった、ということです。
ラティス設計者のニーズを満たすために、弊社は、最近、エクスポートおよびインポート操作を必要とせずに CAD モデル内で直接ラティス構造を生成できるクラウド接続ソリューションである CATIA Lattice Designer を導入しました。 手順をガイドするウィザード Lattice Design Assistant を使用すると、学習しながら機能を利用するという手順が容易になります。特に、ラティス構造が CAD パラメトリックモデルと関連付けられているため、CAD モデルで設計変更が行われると、ラティス構造が自動的に更新されることは大きなメリットです。
プラットフォームのコラボレーション機能とデータ管理機能を活用しながら、ラティス設計を簡単に検索、修正、共有もできます。
最近、3D Creator などのブラウザベースのデザインソリューションとの互換性が拡張されました。 ここでは、主にそのワークフローに焦点を当てたいと思います。
Lattice Designer では、通常の長方形や円形、TPMS (三重周期極小曲面)、カスタマイズセルタイプなど、さまざまなタイプの格子セルを使用できます。 Lattice Designer の利点として、ラティス設計を作成する機能に加えて、シミュレーションアプリへ直接リンクできる、という点があり、さまざまな種類のラティスセルの強度、剛性、または温度を評価して、どの代替案を選択するかを「即」決定できることです。きっとあなたの製品にも最適なソリューションでしょう。
ジャイロイドラティスは、業界で非常に人気のある TPMS タイプのラティスセルです。 形状は非常に複雑で、生成された構造は、強度と剛性、重量、3D プリントを使用した製造可能性などの点で多くの強みがあります。さらに、構造内部に独立した密閉キャビティを提供でき、熱交換器タイプの用途にも最適です。 TPMS、ジャイロイドも Lattice Designer で生成できます。前述の通り、Lattice Designer には、構造検証のための有限要素解析 (FEA) シミュレーション機能への直接リンクがあることも大きなメリットです。
たとえば、3D Creator とは、どのように機能するのでしょうか?3D Creator で作成したモデルを Lattice Designer で開けば、ラティス設計機能を即座に利用できます。さらに、3D Creator で変更が加えられると、ラティス設計が自動的に更新されるところが他にない素晴らしい点です。
Lattice Designer と 3DEXPERIENCE Works ソリューションの優れた点は、機能強化が年間を通じて複数のアップデートでリリースされるため、最新機能を手に入れるために年毎のリリースを待つ必要がないことです。 最新のアップデートでは、Lattice Designer で 3D Creator CAD モデルを開き、そこでラティス構造を設定して生成し、3D Creator モデルを更新して視覚化し、プロパティ、セクション断面、図面作成。質量測定など、下流の操作でもラティスを使用できるようになりました。
格子構造は多くの業界で見られます。 たとえば、ドローンやその他の飛行物体のような製品は、ラティス構造を利用して重量を軽減できます。 多くの自動車メーカーも、3D プリンティングとラティス構造を使用して、重量を軽減し、効率を高めながらCO2排出の軽減を目指しています。
ラティス構造のもう 1 つの注目市場は産業機械業界です。 たとえば、熱交換器は、冷凍、暖房および空調システム、発電所、化学処理システム、食品加工システム、自動車のラジエーター、廃熱回収ユニットなど、多くの工学用途で使用されています。
熱交換器や射出成形金型の設計に関しては、温度を下げることが非常に重要です。 射出成形と熱交換器の設計はどちらも、より大きな表面積を提供して熱交換を増加させ、温度冷却を促進するため、格子構造の活用が効果的とも言えます。プラスチック射出成形金型の設計では、射出のたびに金型をより速く冷却するためにラティス構造が威力を発揮するでしょう。
Lattice Designer を使用すれば、熱交換器の設計時に内部の閉じたキャビティを分離することもできます。
医療機器業界では、格子構造は骨の成長を促進し、患者の回復を早めることができるため、医療用インプラントに関しても大きなメリットをもたらします。 その学名はオッセオインテグレーションです。
ラティスデザインは、自転車や靴の市場など、一般消費財市場でも人気があります。 たとえば、靴の市場では、ラティスデザインによって、見た目の美しさだけでなく、衝撃吸収性も向上します。全体として、ラティスデザインを使用することで、新しくて革新的な外観が生まれ、製品がユニークで、購入者にとってもより魅力的なものになるため、結果的に企業の競争力が高まるという効果が生まれます。
3D Creator と Lattice Designer を使用すると、CAD からシミュレーション、プリント(製造)の準備まで、連続したワークフローが得られ、関連性が失われることがありません。また、プロセス全体を 3DEXPERIENCE プラットフォームに保存できるため、いかなる情報の追跡も可能です。
弊社は、お客様が 3DEXPERIENCE Works ポートフォリオの機能を最大限に活用できるよう、常にソリューションの強化を続けています。 最近では、製造とラティス設計間の共同作業効率を改善するために、Manufacturing Definition Creator の xDrawing アプリを使用したラティス部品を図面で表現することもできるようになりました。
Lattice Designer と 3D Creator は、3DEXPERIENCE Works ポートフォリオのロールとして利用できます。3D Creator、3D Sculptor などの専用ツールをお買い得に購入できる SOLIDWORKS Cloud Offer もチェックしてください。
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