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「コラボレーション」は、設計や技術の分野でよく耳にするバズワードの1つになっています。英語なので、わかったようで、わかっていない?深く理解しているかどうか曖昧ですが、日本語では、「共同作業」という訳が多いですね。一方、英語では、「異なる立場の人による共同作業およびその成果物のこと」を指す言葉で、スポーツのチームプレーのようなものです。それぞれ個人の強みを活かし勝利という共通の成果のために連携し、協力し、プレーする、と同じだと理解するとわかりやすいかもしれません。提案された製品設計をレビュー、精査、その作業を繰り返し行い、最終的に製造に渡す準備ができた、と判断する必要があるのは、製品設計者やエンジニアです。実際のところ、優れた新製品の設計が生まれる、というのはいつ起こるのでしょう。実は、複数の「たいしたことない」と判断されたコンセプトがレビューされ、却下された後にのみ現われてくるとは思いませんか?皮肉なことに、それこそがイノベーションの魔法が起こる瞬間なのです。

 

設計チームにおけるレビューまたは、その他の形式で行われる「コラボレーション:連携、共有、協力」が、より高いレベルの設計につながることは、誰もが理解できる事実だと思います。その後、後工程における「コラボレーション」はどうなってしまうのでしょう? 多くの設計者は、コラボレーションはこれで終わりだと考えているようです。より優れた設計の製品を構築するためには、設計、技術と、さらに製造、調達、営業など、企業全体でのもっと大きな「コラボレーション」が重要だとは思いませんか?

 

サイロを越えたコミュニケーション

製造業では、社内はもちろん、社外のお客様やサプライヤーさんと、専門分野の垣根を越えて協力、連携することが重要です。 企業内だけでより良いアイデアが生み出される時代は過ぎてしまったようです。今や、多くの人を巻き込んで、サプライチェーン全体でアイデアが生み出されることのほうがより大胆な、または、新たな価値を見出すと言われる時代になりました。

 

コラボレーションに失敗した企業は、利益だけでなく存続のリスクを負う

 

企業全体のコラボレーションは、サイロ (組織全体への影響を考慮せずに、リーダーが自分の管理範囲内の結果のみに集中する機能単位) を作成する企業構造によって成り立たないことがあります。この構造と考え方を変えるためには、リーダーが戦略と目標を設定し、さまざまな分野や企業全体に渡る技術やソリューションをバックアップすることから始めなければなりません。

 

MPI グループ が最近発表した調査結果から、製造業企業は、イノベーションを加速するためにどのように協力しようとしているのか、そして残念ながら多くの場合失敗している、ということが浮き彫りになってきました。この調査では、コラボレーションをサポートするベストプラクティス(実践的活動)とツール、およびそれらが影響するパフォーマンスについて説明しています。

上のグラフからわかるように、製造業企業のリーダー、恐らく、ビジネス全体の健全性に影響を与えると考えられる日々の意思決定を行っている人でさえ、各分野のデータを把握できていないことがわかります。

 

意思決定をするリーダーでさえ、企業が、リスクに発展する可能性のある問題を解決するために必要なリアルタイムデータにアクセスできているのは、54%。半分より少し多いぐらいにすぎないのです。

 

上のグラフでは、優れたコラボレーション能力を伴うリーダーシップが、手法やテクノロジの導入を促進し、利益を生んでいるか?という質問に対する回答率を表しています。優れたコラボレーションが大きな利益を実現している、と回答している企業が多いにも関わらず、他部署/分野とのコラボレーションによって実現しているか?というと、報告している企業は半数未満に激減してしまっています。 一方で、(下図に示すように)「まあまあ」「貧弱」「コラボレーションは無い」など、積極的なコラボレーションではない、と回答している企業は多いわけではなく、コラボレーションとイノベーションを促進するためには、積極的なコラボレーションを実施し、成果につなげようとしている企業は、製造業界においては一般的だと考えられます。

 

製造部門にフォーカスしてみましょう。製造部門は、組織全体の情報 (生産スケジュール、運用指標、行政的規則、人員配置のニーズ、供給に関する基準など) を、常に、入手可能な状態であり、必要に応じて共有でき、運用に関する問題に対応するために、改善していく必要があります。 他部署とのデジタルなコラボレーションがなければ、製造部門の生産性は急速に低下し、品質と利益の両方が危険にさらされるだけでなく、職場の安全性さえも失われることになります。

 

そのような現実があるにも関わらず、自社の製造部門が、他部署/分野と優れたコラボレーションを実現していると報告している企業は上図の通り、半数しかありません。Six Sigma(シックスシグマ)や、リーン生産法論などの改善原則の使用は、製造業界では一般的である、というのが通説でしたが、MPI 調査によると、コラボレーション、イノベーション、およびビジネスの成功を促進するプロセスや実践というアクションについては、製造業界で広く使用されているとは言えないことがわかりました。

 

実際、コラボレーションとイノベーションをサポートするテクノロジとして製造部門の 3 分の 1 以上で一般的に使用されているのは、次の 4 つのみです:ビジネス分析 (53% が、一般に使用)、顧客関係管理 (CRM) が 43%、人工知能 (37%) 、プロジェクトの計画と管理 (40%)

 

製造業界企業におけるビジネスの成功は、各部署の機能に大きく依存しており、また、コラボレーションに直接関連する多くの重要な指標 (機械の使用状況、納期厳守、品質および歩留まり) が存在します。 そのため、サプライチェーンや調達との連携に制限があると、生産ラインが材料不足になったり、製品製造が止まることで、注文に対する適切な納品が滞る可能性があるはずです。

 

 

大多数の企業は、機械の稼働率が 90% 未満であると報告しており、38% の企業は、納期通りに納品できる割合が、 90% 以下であると報告しています。設計/技術部門と製造部門間のコラボレーションを調整することで、大きな改善の余地があることがわかります。組織でのコラボレーションを改善する方法を知りたい場合は、ホワイト ペーパー「Collaborate and Innovate for High-Performance Results」(英語) をダウンロードしてご一読下さい。

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