3次元CADの後工程におけるメリットについて

アメリカに住む人は、子供の頃、Cracker Jack(イメージの近い商品としては、日本ではビックリマンが有名ですね) の箱をお菓子そっちのけで探ったことをご存知ですか。シロップの香りがするキャンディコーティングのポップコーンとピーナッツは美味しかったのですが、まずは「おまけ」を取り出そうとしたのではないでしょうか。特別なおまけが付いた Cracker Jack はほかのお菓子とは別格でした。

CrackerJack

多くの皆さんは、何でこんな話をするのか不思議に思っているのではないでしょうか。私は、3次元CAD と Cracker Jack がよく似ていると考えています。3次元CAD へと移行した多くの組織は、迅速で自動化された設計変更、コミュニケーションの効率化、可視性の向上、製品動作を予測するシミュレーション ツール、干渉/衝突のチェック機能など、製品設計に大きなメリットがもたらされること認めています。メリットはこれだけではありません。

そう、これだけではないのです。Cracker Jack のワクワク感を思い出しませんか。3次元CAD の導入は、製品開発の (エンジニアリング工程や製造工程内の) クリティカル パスから離れた、複数の開発工程にも大きなメリットをもたらします。これらの付加的なメリットは、3Dへの移行がエンジニアリング部門だけでなく会社全体に効果があることも証明しています。

クリティカル パスから離れた 3次元CAD データの活用

製品を開発するには、多くの部門の業務を慎重に調整する必要があります。どの部門も、製品が最終的な市場で成功するために重要な役割を果たすのです。設計と製造は、製品開発の設計/試験/製造の各フェーズで重要な役割を果たします。また、マーケティング、セールス、サービス品質、トレーニング、技術文書などの部門も最終的な製品の販売とサポートを成功させる上でも大きな役割を担っています。

これらの部門は、クリティカル パスから外れていると見られることが多いのですが、その役割は非常に重要です。しかし、必ずしもすべての企業が、この重要な工程のメンバーにまで CAD データを活用していません。つまり、もっと多くの企業が 3次元CAD の導入を通じてその適用範囲を広げ、特別な「おまけ」を見つけるように努めるべきなのです。

では、後工程部門がどのように 3D設計データを活用して、どのような業務を行えるのかを詳しくご説明しましょう。

  • セールス提案の強化
    他社とは違う提案をしたくはありませんか。そのためには、単なる2Dだけで提案するのは止めましょう。フルレンダリングした 3D イメージとアニメーションを使って魅力的な提案をすれば、2Dだけで提案をするライバルに勝り、見込み顧客にあなたの製品をよく知ってもらうことができます。
  • 効果的なセールス資料
    設計データを利用するもう 1 つの重要な後工程部門がマーケティングです。ここは、製品のマーケティングと販売に使用する製品資料の作成を担当します。3次元CAD データを使って事前にサポート資料を作成でき、新製品への関心度を把握するためのシード(種)を市場に植えることができます。
  • より効果的なトレーニング資料
    インストラクターは、3次元CAD データを利用して技術マニュアルやチュートリアルを作成できます。これは、ユーザーが最終的な製品の使用方法を理解するのに役立ちます。
  • メンテナンス性を評価
    どの製品も、いずれは定期的なメンテナンスが必要になります。サービス担当者は、製造が開始される前に 3次元CAD データを利用して、製造された製品のメンテナンスが簡単か困難かを確認できます。
  • 的確な組み立て指示
    かつて、テクニカル イラストレーターは 2D 図面から手作業で組み立て指示を描くことを強いられていました。現在は、3D アセンブリ モデルを素早く簡単に 3次元CAD に「展開」して、製品の内部構成部品の分解図を作成し、テクニカル イラストや組み立て指示の作成に利用できます。
  • 関係者とのコラボレーションを促進
    現在、設計レビュー チームには、マーケティング、セールス、サービスなど、技術分野以外の多くのメンバーが含まれています。これらのメンバーと 2次元図面で作業をすると、誤った理解やエラーが生じます。相互に操作できる 3Dモデルを共有すると、製品の機能がわかりやすくなるので、それぞれが情報を追加できます。

エンジニアリング部門外でも設計データを共有

Cracker Jack の箱に隠れていたおまけのように、3次元CAD への投資を活用する方法が他にもあることは、組織にとって意外かもしれません。設計以外の工程部門と 3Dデータを共有すると、生産性の向上、ワークフローの最適化、技術者以外のメンバーの新製品開発への関与など、大きな投資に見合った価値を得ることができます。

設計部門と製造部門は直感的に 3次元CAD の価値を理解していますが、企業は、後工程部門の設計メンバーにも 3次元CAD データの利用方法や利用価値を理解するトレーニングの機会を提供し、生産性を向上させ、将来の製品の成功にさらに貢献できるデータの活用方法を習得できるようにする必要があります。

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Cracker Jack の画像: Geoff Livingston Flickr

吉田 聡

吉田 聡

マーケティング部 ポートフォリオ イントロダクション スペシャリスト