3次元の環境で2次元データを活用する方法

80年代はカセットテープを膨大にコレクションしていました。曲を好きな順に録音できるのが便利で、恥ずかしくなるようなミックステープを作っていました。CD が登場すると、音楽をもっと効率よく再生・録音できるようになって、今では、音楽はすっかりデジタル化され、購入しやすく、プレイリストでお気に入りの曲を保存して共有できるようになっています。テクノロジーが進歩するたびに便利になっていきますが、かつてコレクションした宝物のカセットテープはどうなるのでしょうか。

なぜこんな話をするのか、不思議に思う方もいるでしょう。実は、この音楽メディアの難問が、CADテクノロジーの進化とよく似ているのです。一時期、2次元図面/編集ソフトウェアは革命的と考えられました。その後、3次元CADシステムが登場し、製品開発全体の効率向上という点で 2次元CADよりも優れた成果を発揮しているのですが、では、その2次元図面はどうなるでしょうか。

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過去と現在を融合する

多くの先進的な企業は、3次元設計環境への移行がもたらすビジネス メリットを認識しています。市場投入時間の短縮、迅速な設計変更、ミスの削減、コミュニケーション効率の向上、高品質で最適化された製品などのメリットを考えると、2次元から 3次元CADへの移行の利点を無視することはできません。しかしながら、今日もあらゆる企業が従来の 2次元図面とデータを大量に抱えています。

この潤沢な 2Dレガシー データは、何年もの間、手間をかけて作られた、堅実なエンジニアリング作業の成果のようなものです。これにはまだ価値があります。実際、ほとんどの製品は旧製品を修正したものなので、このような 2次元図面は依然として重要な資産であり、今後も使う価値があるものなのです (高校時代に彼女が作ってくれたあのミックステープのように)。

そこで問題になるのが、3次元設計環境に移行後、レガシーデータの価値をいかに活用するかということです。2次元図面をどのように再利用して、新しい設計を作成するのでしょうか。その答えは、それほど難しくありません。設計を最大限再利用するために 2次元図面を活用する方法はいくつかあります。

計画を立てる

3次元CAD システムを導入したら、2次元データをどのように利用して前進するのか、計画を立てる必要があります。現在ある 2次元レガシー データの宝箱を残すべき理由は数多くありますが、ほとんどの場合、すべての 2次元図面を 3次元に変換する必要はなく、時間とコストに見合いません。

2次元図面と関連情報を残しつつ、2次元ソフトウェアの高額なライセンス費用を払い続けずに済ませるには、SOLIDWORKS が無料で提供している2次元設計ソフトウェア:DraftSight がお勧めです。これを利用すると、既存の 2次元設計環境の維持と編集、.DWG 形式への再保存が可能になります。

場合によっては、2次元図面をインポートして 3次元設計ツールで使用するか、2次元情報をもとに 3次元で再作成することで、2次元データから 3次元に変換したいと考えることもあります。このような場合、SOLIDWORKS のソフトウェアでは既存の DWG/DXF ファイルを活用できます。SOLIDWORKS のソフトウェアでファイルを開くと、1 つのツールバーを使う簡単なワークフロー (「2次元から 3次元へ(2D to 3D)」) が用意されていて、2次元図面のビューを 3Dジオメトリに変換するのに役立ちます。これには、ドラフティング基本クラスで学ぶような、ビューの関連付けや 3次元の「ガラスの箱」にビューを重ねるテクノロジーが用いられています。あるビューでジオメトリを選択すると、隣のビューに反映されるという、ご存じの画法幾何学のやり方です。これは、既に 2次元で行っている操作の延長にすぎません。

既存の 2次元設計データをベースに 3次元で新しく製品を設計する場合もあります。2次元データを DXF/DWG 形式または ブロック要素にインポートして、2次元データから直接 3次元モデルを作成できます。別のツール、Design Clipart では、DWG ファイルの図面ビューを SOLIDWORKS の3次元モデルにドラッグ アンド ドロップして、設計のあらゆる領域で活用できます。この方法では、既存のレガシーフィーチャーを 2次元図面から直接 3次元モデルにコピーできるので、多くの時間を節約できます。

2次元環境でコミュニケーション

今日の拡大し続けるサプライチェーンと分散した設計チームでは、新しい設計を 3次元で作成しても、2次元で送信する必要がある場合もあります。これも SOLIDWORKS で簡単にできます。図面とイメージをさまざまな 2D形式で出力できるうえ、DWG、DXF、PDF、JPEG などの一般的な 2D形式すべてと互換性のある文書にも出力できます。

結論 3次元CAD のすべての機能を存分に活用するために、従来の 2次元図面を手放す必要はありません。SOLIDWORKS 3D CAD を導入している企業には、従来の 2次元データを保持、編集、再利用できるさまざまなツールが用意されているのですから。あとはミックス テープの悩みさえ解決できればよいのですが…

SOLIDWOKRS製品についての詳細は、製品Webページをご覧いただくか、下記バナーをクリックしてお問い合わせください。
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画像: Wikipedia

吉田 聡

吉田 聡

マーケティング部 ポートフォリオ イントロダクション スペシャリスト