3次元の世界で2次元データを活用する

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2次元設計ツールから 3次元CAD への移行は、大がかりな仕事に思われます。
限られたIT リソース、予算も厳しく、中小規模の企業にとっては、特にそうかもしれません。小さな組織にとって、重要な設計プロジェクトの途中に、少数のエンジニアであっても生産性が低下することは、3D導入の先行コストと同じく受け入れがたい課題です。

しかし、長期的に見ると、3D化によって小規模企業は敏捷性と競争力を高めることができ、3次元CAD を確実に導入しているであろう大規模な組織と同じフィールドで争うことができます。また、3次元CAD の導入により、多くの統合設計ツールを利用する機会も得られ、競争力のさらなる向上と、製品の迅速な市場投入も可能になります。

それでもまだ不安があるという方のために、 3次元CAD に関する一般的な噂に惑わされないためのアイデアを共有しましょう (それは競合他社が広めた話かもしれません)。

習得が非常に困難
2次元から 3次元への移行に課題がないということはありません。しかし、導入が済めば、3次元での設計がもともと直感的に進められるものであるとすぐに気がつきます。私たちが住む世界は、平らな 2次元でなく 3次元です。
とは言え、文化的要因から 3Dの学習に抵抗を感じることもあります。
CAD ベンダーはこの点を理解し、2次元設計に慣れたエンジニアや設計者が簡単に移行できるように特別に作成したチュートリアルやツールを用意しています。製品販売代理店 によるトレーニングやサポートも利用できます。

トレーニングについては、クラス(オンサイトかオフサイトか)、自習ツール、オンラインWebトレーニングなど、あらゆる選択肢を考慮しましょう。また、業界や製品に固有な問題の解決に役立つユーザー会ディスカッションフォーラムも有効に活用しましょう。質問や問題解決に頼れる組織内の技術的な指導者やエキスパートを特定しておくことも、ユーザーの不満の解消に大いに役立ちます。

大きなダウンタイムが生じる
これは特に、設計チームが小規模な企業に共通する懸念です。ダウンタイムを軽減する方法の 1 つが、2次元CADを並行して利用しながら、プロジェクトをフェーズごとに 3次元CAD に移行することで、移行の過程でワークフローが混乱しないようにする方法です。

このほかに、全社的に展開する前にパイロットプロジェクトで 3Dを導入して、3次元設計のプロセスとツールをテストしながら、問題を特定して解決していく方法もあります。通常、このようなパイロット プロジェクトでは、自己完結型の新製品を扱います。そのため、他の進行中の業務に影響を与えません。

フェーズごとの方法でも、パイロットプロジェクトのアプローチでも、3次元CAD の導入を開始したら、3Dへの円滑な移行を図るために、すべてのエンジニアが適切なトレーニングを受け、最適なモデリング手法を奨励し、必要なサポート リソースを用意するのが最善の方法です。

自社で製造している製品はシンプルなので、3次元CAD は必要ない
どんなにシンプルな製品でも、製品開発のあらゆるフェーズで得られるメリットを考えると、3D は有効です。設計の向上は、メリットのほんの一部にすぎません。シンプルな部品であっても、シミュレーション ソフトウェアを使用したバーチャル テストでさらに最適化できます。また、今後の顧客ニーズによって、製品修正やカスタマイズ バージョンが必要になったとしても、3次元CAD で簡単に作成できます。

さらに、もともと 2次元図面で作成されていたシンプルな部品の変更も簡単にできます。3次元CAD システムで変更すると、すべての 2次元図面を簡単に作成/流用でき、設計変更を迅速化できます。

便利な 3Dデータを工作機械オペレーターと共有することで、製造部門などの後工程でもメリットが得られます。より少ない操作で、リアルタイムで部品の測定や断面図の作成ができ、設計の整合性を保ち、正確な寸法を維持することができるのです。

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従来のデータを活用できない
確かに、 従来の2Dデータは、長年手間をかけて蓄積された貴重な成果です。
また一からやり直すなんて考えられません。そして、その必要もないのです。既存の 2次元図面を活用して 3Dモデルを作成できます。

SOLIDWORKS では、2Dデータを DXF 形式や DWG 形式、もしくは AutoCAD ブロックでインポートでき、2D データから 3D モデルを直接簡単に作成できます。ただし、従来のデータを 2D のまま使用したい場合もあります。2次元図面の印刷や表示だけであれば、低価格または無料のアプリケーションを利用できます。多くの 3D ベンダーは、従来のデータにアクセスして操作できる DraftSight などの無料の 2次元CAD製品を併せて提供しています。

2次元設計ツールを排除しなければならない
現在、多くの製造業者は、実に多くの理由から 2D設計ツールと 3次元設計ツールを組み合わせて使用しています。機械レイアウト、回路図、概念設計などの作業には、2D ツールの方が使いやすい場合もあるでしょう。従来の図面には正しく変換できないものもあり、サプライヤや顧客向けに 2次元図面を提供する必要がある場合もあります。

ほとんどの 3次元CAD システムでは、図面、イメージ、その他の必要な文書をさまざまな 2D形式で簡単に出力して、サプライ チェーン パートナーや顧客と共有できます。

3次元CADを学習する必要はない
3次元CAD は、競争がますます激しくなっていく今日のグローバル市場で、組織が生き残っていくための大きなメリットを提供しますが、これは会社にとって重要なだけではありません。

長期にわたり安定した仕事を望むエンジニアや設計者も、将来の仕事や社内での昇進のために、スキルを磨き、最新の技術を習得する必要があります。エンジニアリングの資格取得者は、誰もが 3D ツールでトレーニングを受けており、現役のエンジニアにとっても、3次元CAD の習得は死活問題なのです。

高価すぎる
3次元CAD製品は安価ではありませんが、企業の生産性向上、コミュニケーションの強化、製品品質の向上、市場投入時間の短縮といったメリットは、初期投資を正当化できる根拠となります。しかし、これを鵜呑みにせず、予想される投資効果 (ROI) を自身で検討する必要があります。総所有コスト (TCO) を計算して、ハードウェア、メンテナンス、アップグレード、サポート、トレーニングなどのコストを比較してください。

留意したいのは、コストを正当化するメリットをもたらすのは 3次元CAD ソフトウェアだけでなく、付随するツールも含まれることです。設計者は、CAEを活用したシミュレーションでの製品の最適化、製品の製造可能性の評価、設計チームとのコラボレーション、後工程のデジタル データ利用者との貴重な設計データの共有を通じて、最大の投資効果を生み出します。

自ら発見を
トレーニングとサポートについて適切な計画を作ることで、3次元CAD の導入は、市場投入時間の短縮、コミュニケーションの改善、高品質で最適な製品の実現など、大きなメリットをもたらします。これらのメリットを活かすことは、会社に真の競争力をもたらします。下記バナーをクリックして、お問合せいただければ、お客様特有のニーズを評価して、3次元CAD の導入でどのようなメリットが得られるのか、SOLIDWORKS販売代理店よりご説明いたします。
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吉田 聡

吉田 聡

マーケティング部 ポートフォリオ イントロダクション スペシャリスト