プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ06 – 3Dデータを二次利用してみよう

設計への利用。
皆様こんにちは、阿武です。今回は3Dデータの二次利用についてお話しさせて頂きます。SOLIDWORKS Industrial Designerで作成してきた3Dデータが完成したので、エクスポート(データ変換)して詳細設計や画像作成などに活用してみます。まずは詳細設計から。作業は引き続きSOLIDWORKS Industrial Designerでも可能なのですが、今回は設計者が別のソフトを使っているという流れにしたいので、「SOLIDWORKS」を使いました。SOLIDWORKS Industrial Designerの画面右上にあるエクスポートをクリックし、ファイル形式をSOLIDWORKSに指定して保存。この指定保存、他にも様々なファイル形式で書き出すことができるので、SOLIDWORKS以外の3DCADでも対応できます。

保存したデータをSOLIDWORKSで開いたら、ここからは設計者の仕事。構造の設計、抜き勾配の設定、肉厚の調整、強度の計算など、あらゆる条件を満足させながら形状修正も含めて詳細を詰めていきます。設計作業が終了したら試作製作に入ります。今回は自転車用アイテムということもあって、少々大型の製品。3Dプリンターで作ることは難しいので、データの利用による切削加工で試作用の木型を製作することにしました。

 

画像への利用。
次は画像作成。こちらも3Dデータの二次利用。SOLIDWORKS Industrial Designerの3Dデータを使ってもよかったのですが、発売前にパンフレットやHPなどでプロモーション活動できるよう、画像を実際の製品に近くするために上述のSOLIDWORKSで作成した設計データを利用しました。ここで皆様に紹介したいのは、「SOLIDWORKS Visualize」という3Dレンダリングソフト。このソフト凄いです。何が凄いって、レンダリング画像の綺麗さ。リアルもリアルなので「実際よりもかなり良く見えてしまうのではないか!」というほど。SOLIDWORKSデータはもちろんのこと、様々な3DCADの3Dデータを利用することが可能。このブログはSOLIDWORKS Industrial Designerの体験談なので、SOLIDWORKS Visualizeについて詳しくお話しできず残念です。「どれだけ綺麗なの?」と思われた方は、ソリッドワークス・ジャパン ウェブサイトのSOLIDWORKS Visualizeギャラリーを見てください。SOLIDWORKS Visualizeで作成した参考画像がダウンロードできます。このSOLIDWORKS Visualize、作業がとても簡単ということなので、実際に私も挑戦してみました。しかし、まだまだ初心者なので、リアルさの追求にはもう少し練習が必要。まことにお恥ずかしいですが、今回作ってみた画像をアップします。皆様ツッコミなしでお願いします(笑)。もう少し上手くなりたいなあ。

作業を終えて思うこと。
さて、試作用の木型が完成したら、展示会で発表するための試作品を真空成形で作ります。先日行われた展示会の様子と木型の写真をアップしますので、ぜひご覧ください。

現在この製品は次段階に進んでおり、年内に再び別の展示会で発表する予定でいます。詳細は改めてお話しさせて頂きます。

これでようやくSOLIDWORKS Industrial Designerを使った一連の作業が終了しました。この一連の作業を終えて感じたことは、ズバリ、スピーディー! デザイナーはササッとスケッチを描くことでアイデアを膨らませます。SOLIDWORKS Industrial Designerを使えば、スケッチを描くというデザイナーの基本作業がそのまま行えます。さらに、そのスケッチが粘土細工、紙細工の感覚で簡単に3Dデータになる。結果、次工程(データの二次利用による詳細設計作業、試作製作、画像作成など)へとスムーズに移行できる。こんな夢のようなソフトは今までありませんでした。デザイナーだけでなく、ものづくり全体の流れにおいてSOLIDWORKS Industrial Designerはメリットだらけ。敢えてデメリットを言うならば、ネット環境下で動くクラウドソフトなので、PCやネットのシステムによっては動きが鈍ってしまうことと、データの外部流出が心配。しかし、前者はシステム全体をアップグレードすれば解決するし、後者については「セキュリティーは問題ありません。大丈夫です!」と言っているSOLIDWORKS社を信用しましょう。

デザイナーが使うツールは、この数十年でアナログからデジタルへと劇的に進化しました。これは製品製造の技術進歩に合わせて進化したのですが、デザイナーにとっては半ば強制的な事象で、自身が求めていることではありません。しかし、製造サイドが進化をすれば、デザイナーも進化を求められます。今まで慣れ親しんだやり方を排除するのは勇気のいることですが、イヤでも避けては通れない道だと思います。SOLIDWORKS Industrial Designerはこんな時代のデザイナーを手助けしてくれるソフトとして仕上がっています。使ってみて素直にそう思いました。最後に、今回はデザイナーも設計者も私自身(笑)なので、SOLIDWORKS Industrial Designerのチャット機能(作業をしながらのオンラインコミュニケーション機能)を使うことができませんでした(涙)。いつかこの機能を使って多くの人とデザインコミュニケーションをとりたいです!さて次回からは、新たなアイテムに挑戦します。Sub-D機能をメインに使った曲面構成デザインです。お楽しみに!

SOLIDWORKS Visualizeのレンダリング画像は、SOLIDWORKS Japan 公式Instagramでもご紹介しています。是非ご覧ください。

Profile:
阿武 優吉(あんのゆうきち)
工業デザイナー
1972年1月25日生まれ
1995年 株式会社バンダイ入社。アニメキャラクターのプラモデルの設計を担当
1998年渡英
2001年 Central Saint Martins College of Art and Design大学院工業デザイン科卒業
2010年 株式会社アンノデザインオフィス設立
他種々のデザインアワード受賞経歴を持つ

SOLIDWORKS Industrial Designerに関する詳細は、下記バナーをクリックしてホワイトペーパーを確認いただけます。

【プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ】
プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ01 – SOLIDWORKS Industrial Designer
プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ02 -スケッチを描こう
プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ03 – 基本形状を作ってみよう
プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ04 – フリーフォーム(自由形状)で作ってみた!
プロダクト デザイナー阿武優吉ブログ05 – 完成を目指して

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