特集:3Dプリンタ造形成功のコツ 集中講座 – 第2回:SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016 イベントレポート

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11月8日に東京で開催されたSOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016では、IoT(モノのインターネット)やビッグデータなど、ものづくりの現場できているパラダイムシフトの中で、3D CADやSOLIDWORKSがどのような役割を果たし、強みを持つのかが、ひとつの大きなテーマでした。

現在、製造業の分野で必要な起業資金は、以前のたった1000分の1になっている、という話があります。今後、ますます従来の大企業からスタートアップまで、多くのプレーヤーが市場にひしめき、競い合うようになるでしょう。弊社社長、鍛治屋(かじや)の講演の中で、その競争に勝つためには、PDCAサイクルのスピードを上げることが重要であると話をさせていただきました。ニーズを的確につかみ競合より優位に立つためには、いかに速いスピードで製品を投入し、市場のフィードバックを反映していけるかがポイントになります。

新時代の製造の現場にとって、試作に最適な3Dプリントの活用は大きな武器になります。今回は3Dプリントについて触れた3つのセッションについて、吉田の視点からポイントをご紹介します。

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まずは、私が担当させていただいたセッションの一部をご紹介しましょう。最初に、製造業の歴史についておさらいをしました。蒸気機関の実用化に伴い大量生産が可能になった18世紀半ばの第1次産業革命、内燃機関や電力によって効率化を追求した量産システムが登場した20世紀初頭の第2次産業革命、コンピュータやロボットが製造の現場で使われるようになった1970年代の第3次産業革命を経て、現在は第4次産業革命(インダストリー4.0)だといわれています。俯瞰で見ると、顧客ごとに異なる個別仕様の注文を、量産品と同等のコストや納期で提供することで競争力を高めようという方向です。その流れのピースのひとつとして、3Dプリンタが重要な役割を担います。
なぜなら、3Dプリントを有効活用することで、試作にかかる時間やコストを圧縮することが可能だからです。SOLIDWORKSを使えば、設計図面の3次元化により、モデルの段階で干渉や衝突などのチェックができます。デザインレビューの前にこれらの問題を解消しておけば、デザインレビューではもっと別の問題に時間を使うことができます。結果、市場投入までの期間も短縮できます。

SOLIDWORKSは、3Dプリントの印刷プレビューを行うことができます。FDM方式のプリンターでサポート材が必要になりそうな箇所のハイライト、積層ピッチに合わせたプレビューなどが可能になっています。さらにSOLIDWORKS 2017では、Windows 10で標準サポートされる3D CADの新しいファイル形式「3MF」をサポートしています。失敗の原因となる厚みの不足や微細な隙間などを判定し、警告する機能も搭載しています。
FDM方式の3Dプリンタは導入が容易で、企業単位ではなく部門単位で1台ずつ使えるような手軽さがあります。今後さらに3D CADの機能が拡充し、プリンターの性能も上がっていくことでしょう。

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アンノデザインオフィス代表取締役、阿武優吉氏のセッションは、デザイナーの視点から3D CADについて語った内容で、デザイナーが3D CADを使うことの重要性を強調されていました。
これまで、デザイナーが平面で作ったイメージを、設計者が立体に起こして設計データを作成していました。単純な形状はともかく、3次元曲面を使うような複雑な形状、有機的な造形になると、デザインの意図やニュアンスまで、設計者へ正確に伝えるのは非常に難しいそうです。
もし、デザイナーがデザインプロセスに3D CADを取り入れていれば、設計者に3Dのモデルデータそのものを渡せます。平面のスケッチや言葉ではなかなか伝わらなかったニュアンスが、3Dデータなら一目瞭然。設計者はそのデータを元に金型用のデータを作成できるので、なかなか思っていた形に仕上がらない、デザイナーの意図が分からないといったコミュニケーションの問題はほぼ解消できるそうです。

頭の中でイメージした形を、正確に製品に反映できる。これは、デザイナーにとっては理想的な環境ではないでしょうか。そして最終的な製品のクオリティアップにも直結することだと、阿武氏は話されています。
阿武氏は自身でデザインを手がけた製品の実物を例に挙げながら、デザインプロセスを披露。特に形状の作成については、フリーハンドのスケッチを元にモデリングできるSOLIDWORKS Industrial Designerによるデザイン工程について、実演を交えて紹介されました。

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3D CADでデザインを進めるメリットは、やはり、デザインの途中段階で3Dプリンターを使って手軽にモックアップを出力できるということ。試作モデルの制作方法は製品のサイズや素材によって様々ですが、それなりに手間とコストがかかるものです。3D CADと3Dプリンタを導入することで、デザインの早い段階から実際に出力してアイデアの方向性を固めていけるのは、最終的な時間の節約にもつながります。

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上記写真は阿武氏が会場で展示していた、3Dプリンタで作成したランプシェード。全13このパーツから成るこのシェード、FDM方式の3Dプリンターを使い、1回で成形したそうです。3Dデータとして販売するという新しい試みをしています。もう、そんな時代になっているのですね、と来場者の方からお声をいただきました。

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弊社営業技術部梶原のセッションでは「道具を使いこなすには、まずその特徴を知ることが必要」ということで、設計の基本である図面作成のためのSOLIDWORKSの機能やコツをご紹介しました。図面に関するコツの詳細については、こちらのSOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016の資料ダウンロードサイトをご覧ください。
3Dプリントについては、私のセッションでも紹介したSOLIDWORK 2017の新機能3MF形式のサポートがコツとして紹介されました。3D CADがなくても、Windows10で3MF形式のモデルデータを読み込んで3Dプリントできるので、阿武さんのランプシェードを購入して、3Dプリントできますね。

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SOLIDWORKS WORLD JAPAN 2016では20を超えるセッションが開催されました。その内容をダウンロードいただけるサイトは、近日中にオープンします。ニュースレター配信にご登録いただいている方には、メールにてお知らせしますので、是非この機会にニュースレター配信をお申し込みください。

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【これまでの3Dプリンタ造形成功のコツ 集中講座】
第1回:基礎編 3Dプリント成功率アップのコツ
第3回:形状作成編 3Dプリンタによる試作のポイントとは?
第4回:プリント・後処理工程編

吉田 聡

吉田 聡

マーケティング部 ポートフォリオ イントロダクション スペシャリスト